放射線治療を受けている京都府立医大病院の通用口から鴨川畔に抜け、荒神橋を渡って京大病院近くまで15分ほど歩きました。転院したわけではありません。
にしんそばが大名物の「かく谷老舗」がお目当てでした。天ぷら、やまかけ、にしんの3種そば「都萌そば」(1170円)です。「熱いですよ」と、おばちゃんに念を押されましたが、「はい、結構です」。
汗をぬぐいながらすすります。色白でつるりとした、のど越し良いそばです。
最初は天ぷらそばです。最初から山椒がかけられています。そのままいただきます。うまい。
結構な大きさのエビが現れました。
2杯目はやまかけです。
トロリさが増して、ソフトになりました。出汁に沈んだ山芋を、吸い揚げました。
トリはにしんです。満を持して七味も登場です。
にしんの棒煮です。甘さは控えめで、しっかりとした身です。
にしんの脂が出汁に溶け出して、濃厚でパンチのある味になりました。
三者三様、どれもおいしかったです。
出発は同じ出汁だったはずですが、ゴールではこれだけ色が違っていました。
「都萌そば」といいます。なんて読めばいいのでしょうか。
わたしが「3種の」と頼むと、おばちゃんは「ともえ、ひとつ」と通していました。三つ巴の巴か。3種のそばが競っているのだとそのときは納得していました。
改めてショーウインドーを眺めて、もう一度納得しました。都萌(ともえ)そばでした。
名物のにしんそばは、こんな姿です。
この食べ歩きの一番で登場した「松葉」とあと一店が、京のにしんそば発祥の店と呼ばれるそうです。
入ったところの1人掛けテーブルでいただきました。どんどんと客がやって来ましたが、ここはわたし1人でした。
奥に深い店で、テーブル席にカウンターもあるようです。
「わたしも行きたかった」と奥さま。「まだあるんやね。懐かしい。高校のとき、よく食べに行ったわ」
奥さまは、近くの岡崎にあった高校に通ってました。
明治維新のころに先々代が石川県から京都にでてきて、店を構えたのだそうです。間違いなく150年余の老舗(しにせ)です。
京大病院の南の筋にあります。
かく谷老舗
075-771-2934
京都市左京区聖護院山王町39