【8月25日=ソーリオ】
Soglio/ソーリオの村を通り抜けて、小道をなおも進みました。しばらく歩くと明るい丘に出ました。振り返ると、教会を中心に広がる村が一望できました。
「見えるかぎりの景観の中にひとつの無駄もなかった。教会を中心とした村も、緑一色の牧草畑も、くらい谷間をこえて向うの山々も、どれ一つとして、この景観から抜き去ることはできなかった」(新田次郎「アルプスの谷 アルプスの村」新潮文庫)。
「私たちは牧草畑の間の道を上へ上へと登っていった。教会を中心とする村は谷間に沈み、眼もくらむような日ざしが私たちを取りかこんだ。・・・村が足下に沈むにつれて対照的に私たちの前に姿を現して来た山があった。右側にピッツ・パディーレの北壁が見え、左にシオーラの山群が頭を並べていた」(同)
丘の上のベンチで老夫妻が休んでいます。わたしたちもここに座って、ゆっくりとした時間を過ごしました。
石瓦の民家越しに見る教会です。
黄色い花が咲きます。これも牧草として、やがては刈り取られます。
シレネ・ブルガリスでしょう。2年前に訪れたミューレンで見たのと同じです。
新田次郎が見あげた「カツラの古木」です。セガンティーニも見上げたかもしれません。
反対側に歩いた村の外れです。
写真にも記録しました。それよりも、天国に行くときに迷わないようにと、わが脳裏にも記憶しようと眺めた「天国の入り口」でした。