京都の丸善といえば、梶井基次郎の短編「檸檬」です。店を入ったところに檸檬のコーナーがありました。文庫本の「檸檬」が1000冊も積まれ、本の上に檸檬をそっと置いていく人までいたそうです。
変にくすぐったい気持が街の上の私を微笑(ほほえ)ませた。丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。
私はこの想像を熱心に追求した。「そうしたらあの気詰まりな丸善も粉葉(こっぱ)みじんだろう」
そして私は活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩(いろど)っている京極を下って行った。
「檸檬」は、1925(大正14)年、同人雑誌「青空」に発表されました。となると、原文に登場する丸善は現在地ではありません。寺町三条西入ルの現在の「有本洋服店」あたりあったようです。
ついでながら、「有本」は亡くなった父親のひいきの店で、リクルートスーツやモーニングなどを作ってくれました。わたしは、ここでスーツを誂えるくらいなら、吊しを数着買う方の人間に育ってしまいました。
とうとう私は二条の方へ寺町を下(さが)り、そこの果物屋で足を留(と)めた。ここでちょっとその果物屋を紹介したいのだが、その果物屋は私の知っていた範囲で最も好きな店であった。そこは決して立派な店ではなかったのだが、果物屋固有の美しさが最も露骨に感ぜられた。果物はかなり勾配の急な台の上に並べてあって、その台というのも古びた黒い漆塗(うるしぬ)りの板だったように思える。
丸善を出て、寺町を歩きました。やって来たのは二条の角にある果物店「八百卯」。「私」が檸檬を買ったという店です。
カメラを構えていると、後で声がしました。
「丸善がなくなるんで、きっとここの写真も撮ってはるんや」
その通りです。
初めまして。
ブログにTBありがとうございました。
檸檬を買った店って言うのは、ここのことだったんですね~(#^.^#)
初めて知りました。勉強になります♪
丸善京都河原町店の閉店
今日はついに丸善が閉店の日。夕方行ってみたら「檸檬」はすでに売り切れていた。早めに買っておいてよかった‥。
今日の店内は、昔から丸善で買い物してきた、或いは京都で学生生活を送ったとおぼしき年配の買い物客が目立っていた。店内の数ヶ所にレモンが山積みにされ、その横のスタンプ台のところでは買い物を済ませた人たちが行列して押していた。
毎日これぐらいお客さんが入っていたら、丸善も閉店に追い込まれることもなかっただろうに。って、私もアマゾン(しかもユーズド)や大学生協で買うことが多かったんだけど。
本を買って外に出たのはもう閉店予定時間の7時を過ぎていて、店の前に黒山の人だかりが…
猫の尻尾を噛んだことがありますか?
ねこがかわいくてしょうがなく、さすりさすりだけではものたりず、
しっぽをかんで、なかしたり、しゃーといわせたりして、
ねこオーナーにひっぱたかれた。
でも、なにやら、梶井基次郎もにゃんこのしっぽをかんでいたとの情報。
梶井の ねこばか録(本当のタイトル知らない) というのがあるらしい。そこに書いてあるらしい。
さがしてみよう。
PS 京都の丸善で『檸檬』がレジで売っていた。マジ。