QUAD22邂逅(5) たったの抵抗1本で

 モーツァルトのディヴェルトメントK.136のヴァイオリンがきれいに響きました。
 古い英国製のプリアンプ、QUAD22を同じ英国製のスピーカー、TANNOY3LZにつないで聴きました。きれいな音が出てほっとする瞬間でした。そして「初恋の君」に聴き惚れました。
 前回の試しの音出しでは、チューナー(ネットラジオ)の音は出ていました。ところがLPを聞くためのフォノ入力は、片チャンネルしか音が出ませんでした。やはい古い真空管が死んでるのだろうかと気をもみながらも、あれこれと調べました。

 この抵抗1本の劣化でした。

 規定値は1.5MΩです。取り外してテスターで測ると、なんと7.72MΩもあります。これでは断線しているのに等しいくらいです。

 フォノ入力を増幅する初段管(EF86)のスクリーングリッド抵抗でした。同じ値の抵抗の持ち合わせがなかったので、適当に2本をシリーズにして仮接続しました。これだけのことで蘇生しました。

 コンデンサーのようにパッケージが割れるといった不良だとすぐにわかるのですが。

 赤い矢印が不良な抵抗でした。
 ステレオですので、この部分は左右が対称に配線されています。2つの抵抗の表示値はカラーコードが同じですが、明らかに外形が違います。誤差を表示するカラーは、金(5%)と銀(10%)です。他のパーツとも比較すると左はオリジナルではなく、後に交換されていたようです。
 なんだかここが怪しいと抵抗値を測定して異常に気付きました。 

 肝心の音です。なかなかいいんです。中低音の膨らみに欠けるようでもありますが、「こっちの方がヴァイオリンの音がしている」と、耳のよい奥さまの評です。
 寄る年波相応に潤いをなくしているようです。でも手を加えれば魅了を取り戻してくれそうな希望が見えてきました。