旅の総仕上げはベルリン・フィルハーモニーの定期演奏会でした。
指揮はマリス・ヤンソンス、バイオリン独奏はツィンマーマン、オケはもちろんベルリン・フィルです。
プログラムは、スメタナの売られた花嫁序曲、マルティヌのバイオリン協奏曲、そしてドボルザークの交響曲第9番「新世界より」と、チェコの作曲家の3作でした。
新世界が終り、拍手の渦に包まれたフィルハーモニーです。
拍手は鳴りやまず、オケが去った後のステージに呼び戻されたヤンソンスです。
指揮者の一挙一頭足にこれほどまで釘づけになったのは、初めての体験です。ヤンソンスは格好よすぎます。
小気味よい動き。時に指揮棒を左手に持ち替え、右手の指先を全部使って表現する。小柄な体が、限りなく大きく見えました。
アムステルダ・コンセルトヘボウを指揮して人気を一身に集めているのがよくわかります。今年のウィーンのニューイヤー・コンサートの指揮ぶりも思い出しました。
コンサート・マスターが樫本大進なら、もういうことはなかったのですが。それだけが残念。
フィルハーモニーの響きは、聖トーマス教会とも、歌劇場のゼンパー・オーパーとも違って、ひとつひとつの音が明瞭に聞き分けられるオケのための空間であることがよくわかりました。
長いと思っていた旅もあっという間。あすの飛行機で帰国します。旅の思い出は、改めて記していきます。