「Multi-function Tester TC1」でEQアンプを調整する

 抵抗やコンデンサーの値を簡単に測定できる「Multi-function Tester TC1」です。
 これをゲットしたのは、わたしのオール真空管で構成されたオーディオ・システムのうちのEQ(イコライザー)アンプのある部分を測定したかったのです。
 EQアンプは、RIAAという規格に従って高音を強く、低音を弱めて録音してあるレコード(LP)に、逆特性のフィルターをかけて元の音に戻すのが役目です。そのフィルターが、抵抗とコンデンサーで成り立っています。
 EQアンプのカバーを開けて、あるコンデンサーの値を量りました。5566pF(ピコ・ファラッド)と表示されました。

 フィルターを構成しているのは抵抗3個とコンデンサー2個です。測定したコンデンサーは0.0056μF(マイクロ・ファラッド)=5600pFあるべき部分でした。34pFくらいは誤差のうちです。これがあまりに設計値と違っていると、周波数特性にも影響が出ます。

 抵抗は、1本30円と安価なパーツです。1kΩ、47kΩ、680kΩで許容誤差が±1%のものをそれぞれ10個づつ購入していました。
 テスターと抵抗の誤差が知りたくて、それぞれを測定しました。思っていた以上に誤差が少なくてびっくりしました。
 同じ抵抗を2度測定すると、そのたびに微妙に値が変化します。測定器としての命の絶対値の較正も、厳密になされていないでしょう。それでも、お遊びとしては十分に評価できる仕上がりでしょう。

 EQアンプの抵抗を、設計値に近いものと取り替えました。47kΩはすべて低めだったので、手持ちの抵抗から510Ωのものを探して、シリーズに接続しました。

 コンデンサーも、39pFというのをパラレルに接続しておきました。
 これで周波数特性は、設計値に近づいたはずです。精神安定剤としたは十分でした。

 EQアンプを元に戻してLPを楽しみました。
 ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチのヴィオラが朗々と響くシューベルトのアルペジョーネ・ソナタです。EQアンプを触ったことによる差異は、わたしの耳ではわかるはずもありませんでした。