フックスのクラリネットにひき込まれる

 ベルリンフィルの首席クラリネット奏者、ヴェンツェル・フックスを中心とした「クインテット(五重奏団)」のモーツァルトを、きのう29日夜、京都・上桂の青山音楽記念館・バロックザールで聴きました。
 こじんまりとした響きの良いホールで聴く生の音です。フックスの息遣いさえ感じられる、柔らかくて包み込まれるような音色でした。
 モーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲が続いて演奏されるという最高のプログラムでした。LPレコードで耳に馴染んだメロディーでしたが、目の前で繰り広げられる管の響き、弦との調和にひき込まれました。

 朝から同じモーツァルトのLPを聴きました。クラリネットはフックスの先輩にあたる同じベルリンの首席だったカール・ライスターです。いつもながらに爽やかな気持ちにしてくれる名演です。

 わたしのステレオ装置も、なかなかいい音を出すなと再確認しました。とはいえ、LPと生では、明らかに違います。両方を聴き比べて、改めてそれぞれの良さを感じさせられました。

 モーツァルトのLPには大きな傷がついており、その個所にくると音が飛びます。もう半世紀も昔の学生時代の1972年8月、京都の十字屋で購入しています。中古店で同じLPを探してみます。
 ブラームスのクラリネット五重奏曲は2枚あります。
 フックスのLPも欲しいところですが、残念ながらCD世代ですね。

和久傳ノ森「森の中の家 安野光雅館」の「夏の日のローラ」

 京丹後市の「和久傳ノ森」に1年前にオープンした「森の中の家 安野光雅館」を訪れました。
 安野光雅の描く「繊細で柔らかな水彩画の世界」が広がります。
 56種の樹々3万本が植えられた森に、建築家の安藤忠雄が設計した美術館がたたずみます。

 特別展「夏の日のローラ」(画像はチラシの部分)が始まったばかりです。
 遠近法が存在しないかのように描かれた踊りや食事のシーン、その小さな家などが並んでいます。

 外壁は黒い杉板で覆われて、周囲の景観に溶け込んでいます。

 美術館までの回廊は折れ曲がっています。

 向こうには工房レストラン「wakuden MORI」が。
 ゆったりとした芝生が広がります。木陰のベンチに腰かけて、のんびりとしていました。

 和久傳は、京都の有名料亭です。京丹後市峰山にあった旅館が発祥です。

 みやげにあれこれといただいてきました。
 大きなポスター。産経新聞に連載されている「洛中洛外」の平成30年カレンダー(産経新聞社)は、すでに今年も半分が過ぎようとしており、「ご自由にお持ち帰りください」。開館1周年を記念して、ポストカードや和久傳オリジナルのペットボトル入り「くわのおちゃ」までありました。

 森の中の家 安野光雅館
 0772-84-9901
 京丹後市久美浜町浅谷764 和久傳ノ森
 

管球EQアンプとECC83の昇天

 ピエール・ピエルロのオーボエが心地よく響きました。チマローザのオーボエ協奏曲なんかが入った仏・エラート版のLPに針を落としました。
 「チャルメラみたい」と、以前の装置から出た音を奥さまに評されて以来、眠らせていました。
 EQ(イコライザー)アンプをまたまた作りました。LPの録音特性にあわせて高低音のバランスを調整するアンプです。このところ電子デバイスのOPアンプでつくってましたが、今回はこりもせずに管球式です。これでEQ-コントロール-メーンとすべてが管球式アンプになって、とりあえずはまぎれもんもがない真空管の音になりました。

 マランツの#7という往年の名器のEQ部のコピーです。そのままコピーできればいいのですが、3球管のNFという、ちょっと再現が難しい回路です。
 大学生のときに、初めてEQアンプをつくったときも、この回路は敬遠してクワードの#22にしました。以来、半世紀ぶりに#7への挑戦でした。
 抵抗は、すでに製造中止となったリケノーム(1/4W型で充分なところを大型の2W型を使用しているところも)を使うなど、それなりの部品が並んでいます。

 初段には独・テレフンケン製のECC83(12AX7)という真空管をつかっています。プリントが消えてますが半世紀も前の製造で、お尻にダイヤマークもあるいまやヤフオクでも高価で取引されているお宝です。
 テスト段階ではいい音を出していたのに、突然、片チャンネルから音がでなくなりました。なんと1本のヒーターが断線していました。久しぶりのお役目にご老体は耐えられなかったようです。
 とりあえず互換球の独・シーメンス製E83CCを挿してますが、テレフンケンに未練が残ります。

 DENONのDL103という針で聴いています。MC型という形式で、MM型入力のEQアンプで使うには増幅用のトランスが必要です。
 これもタムラの古いインプット・トランスがあったので使いました。バランス入力という方式で、その結線のために2芯2軸シールド・ケーブルを入手しました。
 ネット通販で、何でも手に入る時代です。日本橋や、秋葉原まで出かけなくても、欲しいパーツはそろいました。

Bachfest Leipzig 2018 ネット中継で楽しむ

 Bachfest Leipzig 2018(バッハ音楽祭)が、今年もドイツ・ライプチィヒで始まりました。聖トーマス教会でのカンタータ・リングに鈴木雅明率いるBCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)が登場しました。そのコンサートが、Bach-Archivでインターネット中継されていました。
 わが家のリビングで、居ながらにしてライプチィヒの夜を楽しみました。
 ノートパソコンでネット中継を受信。画像と音声をテレビ入力して、音声はさらにステレオに接続しました。大画面、大音量で臨場感もたっぷりでした。 

 ピストンのない古楽器のナチュラル・トランペットが鳴り響きました。

 カウンターテナーの青木洋也さんも歌ってます。
 10日昼前に記録画像を見ると、アクセス回数は早くも1万回に達しそうでした。全世界で注目されていたことがわかりました。

 2時間に及ぶ演奏が終わり、聖トーマス教会は大拍手に包まれました。

 6年前に、ここでBCJのマタイ受難曲を聴きました。あの時の感動がよみがえってきました。もう一度、行きたいです。

 コンサートは10日午前零時30分(日本時間)から始まりました。眠いのをこらえて待っていると、ご覧のような静止画像が。30分を数分過ぎたたところで聖トーマス教会のLIVEが飛び込んできました。
 ネット中継は、FacebookのBachArchivで見ることができます。
 https://www.facebook.com/bacharchiv/?fref=mentions

バジルを植える 2018

 バジルを定植しました。
 今年の2株は、種から発芽させたものをいただきました。元気に育っています。

 ホームセンターでプランターと培養土、鉢底石を買ってきました。

 わずか5分ほどの「農作業」でした。

 わが家のベランダ・ハーブ園です。
 右が越年したイタリアンパセリ。その向こうがこれまた越年したミント、その左はおいしい部分を食べた後、プランターに植えておいたミツバです。奥にはローズマリーもあります。

 日当たりのざるの上では、信州で買ってきたカモミールが干されていました。ハーブティーか入浴剤にでもするのでしょうか。

 安曇野のハーブ園で、1株だけ買ったゼラニウムです。

 こちらはベランダの反対側。奥さま丹精のゼラニウムが満開です。

 これまでの「バジルを植える」はコチラ

信州木曽・上松 赤沢森林鉄道のかわいい車両たち

 赤沢森林鉄道の米国・ボールドウィン製蒸気機関車(SL)です。動態保存されています。
 木曽谷のヒノキを搬出するため大正初期に木曽森林鉄道が敷設され、その動力車として導入されました。
 森林を走るため、煙突から火の粉が出ると山火事が危険です。そのため、煙突に集塵設備をつけており、こんな愛敬のある顔になりました。日本林業遺産に指定されています。

 年齢を感じさせないたくましい動輪です。

 スチーム釜が、運転席にまで張り出しています。運転は、熱気との闘いだったのでしょう。

 1929年製造のプレートがついています。

 車庫内には、他にもいろんな車両が保存されていました。

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信州木曽・上松 赤沢森林鉄道に乗る

 平均樹齢300年以上のヒノキ天然林が広がる赤沢自然休養林。その中を走る赤沢森林鉄道に乗りました(15日)。
 かつては木曽森林鉄道として一帯に総延長500キロにも及ぶ線路が敷かれ、木材運搬に活躍しました。やがてトラック運輸に主役を奪われ、昭和50年に日本から姿を消しました。
 赤沢森林鉄道は昭和62年に、観光路線として復活しました。

 森林鉄道記念館と丸山渡間の往復2.2キロを、機関車が客車5両を引いて運行されています。

 森林鉄道記念館には、米国・ボールドウィン製の蒸気機関車も動態保存されています。

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雨の日、ベランダのアジサイ

 朝から雨が降ってきました。ベランダのアジサイをフェンス際に寄せて、水滴をかぶらせました。

 「伊予の五月雨」という品種です。山アジサイとコガクウツギの自然交雑種だそうです。株全体に五月雨が降りそそぐ様に見えるようになるそうです。 

 もう1株のアジサイです。こちらの花は、白からピンクに変化します。

 よく根付いています。開花も間もなくでしょう。

宇治市植物公園のハーブたち

 「植物園にでも散歩に行くか」ということになりました。といっても京都府立植物園は市内の人出の多さからちょっとおっくうです。初めて行った宇治市植物公園は、車で30分ほどでした。
 温室には、カラフルな熱帯の花々が咲き乱れていました。それはそれでインスタ映えしますが、わたしがレンズを向けたのはハーブの数々です。
 白い花はスイート・マジュラムです。肉料理に欠かせないハーブです。フジ色の花はチャイブ。名前だけは知ってますが、使ったことはありません。

 セージです。サルビア近縁種だそうです。

 ジャーマン・カモマイルと表示されていましたが、カモミールですね。花はリンゴの果実に似た香りがするそうです。わたしは嗅覚が鈍いので、わかりませんでした。

 キャラウェイには、その匂いにさそわれてかテントウムシが。

 チャービルは「美食家のパセリ」と呼ばれるそうです。

 ギョウジャニンニクもハーブの一種ということで。

 河津桜が、サクランボをつけていました。真っ赤なのを一粒、口に含みましたが、あまりの酸っぱさにあわてて吐き出しました。

 修景池の観月台です。緑が清々しいです。

 若葉が美しいラクウチョウです。

 花の広場には、3675個のプランターを並べた高さ18メートル、幅62メートルのタペストリーが。ゴリラがおいしそうに黄色いバナナにかじりついています。

 わが家からさほど遠くないところに、こんなにすばらしい植物園がありました。休日だというのに、園内は人出もまばら。弁当持参で、木陰でゆっくりとするのもよさそうです。

 宇治市植物公園
 0774-39-9387
 宇治市広野町八軒屋谷25-1

神峰山の森自然園 ユキモチソウと春の花

 ユキモチソウが見たくて、高槻市郊外の「神峰山の森自然園」まで車を走らせました。ポンポン山登山の起点のひとつ、神峯山寺(かぶさんじ)の仁王門を通り過ぎたすぐの斜面にいろんな野草が咲いています。
 今年の春の花は、いずれも早くに開花したようです。「ユキモチソウはもう終わったかな」と、入り口辺りを清掃していた係員さん。遊歩道をひと巡りしてくると、「ありましたか? あそこならまだ咲いていたはず」と、遊歩道から外れた場所に連れていってくれました。ありました。
 雪のような、柔らかい餅のような付属体があるので、ユキモチソウ(雪餅草)と呼びます。初めて見ました。マシュマロのようでもありますが、食べたらたいへん、有毒です。

 ユキモチソウはサトイモ科テンナンショウ属の多年草です。世界的に見ても日本の三重、奈良、四国の限られた地域に自生するだけだそうです。

 付属体から甘い匂いを発して虫を呼びこんで、花粉の授精をさせるのだそうです。

 こちらは、同じサトイモ科テンナンショウ属のムサシアブミでしょうか。仏炎苞と呼ばれる花の形が、武蔵の国でつくられた鐙(あぶみ)に似ていることから武蔵鐙と呼ばれるようになったそうです。

 花の先端から長い弦のようなものが伸びているのはウラシマソウでしょう。名前の起源は、浦島太郎が持っている釣り竿の釣り糸に見たてたからといわれます。
 いずれも絶妙なネーミングです。

 ヒメシャガです。シャガよりは小ぶりで、紫色が鮮やかです。

ミヤマヨメナは春に咲く野菊です。園芸種がミヤコワスレ(都忘れ)です。

 タツナミソウです。同じ向きに花を咲かせる姿が波頭の文様を思わせることから、立浪草となりました。

 ニッコウキスゲが早くも咲いていました。辺りには、蕾がいっぱいありました。

 日本最初毘沙門天 根本山 神峯山寺 寶塔院
 高槻市原3301-1
 072-688-0788