京城勝覧を巡る 第八日 愛宕山にのぼる道

 貝原益軒の記す京のツアーガイド本「京城勝覧」の第8日は「愛宕山にのぼる道を記す」です。南東の清滝から表参道を登り、月輪寺を通って下るコースが紹介されています。
 わたしは丹波側の宕陰(とういん)にある嵯峨樒原(しきみはら)から裏参道を登り、表参道を下る縦走ルートを歩きました。
 愛宕神社の境内で食べた昼飯は、JR京都駅で買ってきた駅弁「六甲縦走弁当」でした。ご飯少な目、おかず豪勢、なにより器がコンパクトと益軒さんもうらやましがりそうな弁当でした。
 京城勝覧には「食」の話は登場しませんが、わたしにとっては欠かせないテーマです。 

 スタートの嵯峨樒原に立つ愛宕神社の鳥居です。ここまでが境内です。

 「火廼要慎(ひのようじん)」の神さまが祀られている愛宕神社です。愛宕山の山頂(924m)にあります。比叡山よりも高いです。三角点(889.8m)は、別の場所にあります。

 清滝近くまで下ってくると、愛宕山鉄道のケーブル軌道敷が残っています。6つのトンネルを抜けるこのルートを山頂駅まで登ったこともあります。


 【2021/10/08 09:13】
 JR京都で嵯峨野線に乗り換えて八木まで。駅前から日に3本しか運行していない京阪京都交通バスに40分ほど乗ってきました。
 最初は満席でしたが、途中の田んぼの中に立つビルのような医療機器会社でほとんどが下車しました。
 何回かそばを食べにやって来たことがある越畑の「まつばら」の前を通り、細いくねくね道を走って終点の樒原(バス停は原)です。降りたのは2人でした。

 登山口、いや参拝道です。

 先住とはいえ、熊とは仲良くしたくありません。

 ちょっと荒れた個所もありますが、気持ちの良い山道です。

 それもつかの間、林道(?)と合流しました。

 セメントを流しただけの簡易舗装の道がずーっと愛宕神社まで続いていました。
 この道は裏参道であり、車が通行する愛宕神社への物資補給路でもあるのです。

 丹波の山々が連なります。

 水尾方面に下る道と合流しました。

 山頂が近づいてきました。

 亀岡市街が見渡せます。

 愛宕スキー場跡への道標がありました。行ってみました。

 ゲレンデがあってもおかしくないなだらか山容です。
 昭和3年、京都二中校長の中山再次郎によって拓かれました。雪質もよくスキーヤーに愛されましたが、愛宕山鉄道の廃止とともに廃れました。
 中山の胸像も鉄供出でなくなり、台座だけが残っています。

 左に下ると、『月輪寺』を通って清滝に下れます。京城勝覧のルートです。

 最後の急階段を登りました。

 【11:03】 
 愛宕神社の門前までやてきました。『鐵(かね)の鳥居』と記された黒門です。ゆっくりと歩いてきましたが、YAMAPのコースタイムよりは早くて、上出来です。

 愛宕神社に参りました。

 門前で昼飯にしました。
 JR京都駅で買ってきた駅弁です。開店直後で、ほとんどの駅弁が「入荷待ち」でした。
 淡路屋の「六甲山縦走弁当」(680円)です。縦長のパッケージなので、ザックにもすっぽりと収まりました。紙製で食べた後は薄くなりました。

 鶏肉煮、焼鮭、牛肉煮、蛸煮、いかなごくぎ煮とバラエティー豊かです。

 多くのハイカーが休んでました。

 階段道の表参道を下ります。

 神花樒(しんかしきみ)のハナ売り場跡です。登山口だった樒原は、樒が多かったのでしょう。

 水尾分れまで下ってきました。ハイカーが大勢、休憩してました。
 この辺りから左手に分け入ると、ケーブルカーの山頂駅跡があります。

 『かはらけなぐる所あり』と記されたスポットです。

 大木が倒れ、こも被りが放置されています。中身が気になります。

 茶屋跡があります。昔は1丁ごとに茶店があったそうです。 

 丁石が残っています。
 鳥居本の一の鳥居から、門前の鉄の鳥居まで50丁ありました。

 20丁の一文字屋跡です。
 この店は、ケーブル開通後は駅舎2階で営業。現在もバス停横に残っています。

 「壺割坂」を下ります。
 『夏は茶壺を此寺の壺倉いれ置。秋になれば各々取返さる』と記された壺を運ぶ途中に、この急坂で壺を割ってしまったから壺割坂です。

 最後まで歩きにくい道です。

 火燧(ひうち)権現跡です。こちらも火事とかかわりが深い神社でした。

 京城勝覧にも大きく描かれています。

 【13:16】
 清滝に降りてきました。

 かつては旅館や売店もにぎわったようです。みんな閉まってます。

 『清滝川の橋を渡りて上る』と記された猿渡橋です。

 京都一周トレイルの「西山コース1」の道標が立っています。

 一文字屋食堂までやって来ました。閉まっているガラス戸を開けると、奥の間でおばあちゃんがテレビを見てました。開いていてよかったです。

 【13:25】
 よく冷えた缶ビールをゲットして、気持ちよく京都バスの清滝バス停にゴールしました。

 これで第7日の「嵯峨にゆく道」とつながりました。