my camino=24日目 頼りのガイドブックは1冊 

 夕刻のアストルガの広場でSさんと出会いました。「いま、Kさんとスパゲッティを作って、食べたとこですよ。一緒だったらよかったのに」。わたしは2人とは違うアルベルゲに泊まっていました。
 日本人ペルグリーノが持っていた最もポピュラーなガイドブックは「聖地サンティアゴ巡礼」(NPO法人日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会、ダイヤモンド社)でしょう。帰国後に改めて読み返すと、アストルガのページには「坂を上った広場のすぐ左手に・・・公営アルベルゲがあり、日本友の会とも交流がある」と書かれていました。これを読めば、その夜の宿は確定するでしょう。現在も、日本人女性がボランティアで働いておられます。
 わたしもこの本は、何度も読んでました。ラインマーカーでカラフルになっています。それでも持ち歩くガイドブックはひとつと決めました。思案の末に選んだのは、「A Pilgrim’s guide to the Camino de Santiago 」(John Brierley)の方でした。決め手は、地図が載っていることでした。友の会の方はPDF化して、スマホに入れていました。ときどき、スマホの小さなページに目を凝らしてもいましたが、この日は読んでいなかったのでしょう。
 中学生のときに山登りを始めて以来、国土地理院の発行する5万分の1地図は必携品でした。実際に歩いたルートには、赤線を引きました。地図を読むことはもとよりそれが増えていくのも楽しみでした。知らない道を歩くときは、地図がないと不安になります。
 John Brierleyのガイドブックは、英語圏のペルグリーノには絶大な支持を得ているようでした。平均的な1日の行程が、概略的ではありますが1ページの地図となってます。その地図には、通り過ぎる町や村などの地名、アルベルゲやオテルなどの宿泊施設はもとより、教会から水飲み場まで、そして主な区間の距離などが細かく記されています。
 別のページには、アルベルゲなら18/3(ベッド数/部屋数)といった規模、料金や特徴などのデータがついてます。教会や見るべきスポットのガイドも充実しています。

 わたしは、こちらを選んだので、おおかたの日本人ペルグリーノと一定の距離感を保てたのかもしれません。とはいえ、英語です。疲れ果てたアルベルゲのベッドで読むのはひと苦労でした。
 インターネット上のガイドやスマホ・アプリも、いくつもあります。わたしもいくつかのアプリをインストールしていました。計画段階では、たいへん重宝しましたが、実際に歩いてみると、地図なんてなくても、ホタテ貝や黄色い矢印を追っていると、サンティアゴ・デ・コンポステーラにたどり着くというのも現実でした。ま、巡礼の荷物が重くならないよう、気にいった1冊で身軽になることです。