グラーツ エッゲンベルク城の「大坂図屏風」

 ウィーンに次ぐ第2の都市、グラーツまではOeBB(国鉄)で2時間半ほどかかりました。エッゲンベルク城にある「大坂図屏風」を見たかったのです。
 城内の「ジャパニーズ・キャビネット(日本の間)」には、17世紀初頭に制作された大坂城を中心に町の様子が描かれた屏風が残っています。古伊万里などとともに、ここまで渡ってきてました。8曲の屏風は1扇ごとに解きほぐされ、壁面に張り込まれています。
 ガイドツアー(英語)に参加、1時間かけてゆっくりと城内を見学しました。2階(日本風には3階)の女帝、マリア・テレジアの肖像画が飾られた広い部屋の隣が日本の間です。
 期待していただけに、拍子抜けするくらいの対面でした。薄暗い部屋で、近くまで寄ることはできなかったので、細部までは確認できませんでしたが、豊臣秀吉治世下の大坂の町が生き生きと描かれています。
 部屋の内部は撮影禁止。もらったパンフレットの写真を掲載します。 

 緑がきれいな庭です。

 中庭からチャペルの塔を見上げます。

 城の正面には、正装した男女が集まっています。

 結婚式を挙げる新郎新婦がやってきました。

 エッゲンベルク城の全景です。童話にでも出てきそうな、かわいいお城です。

 振り返ると、放し飼いの孔雀が横切りました。

ウィーン美術史美術館の「世界一きれいなカフェ」

 フェルメールにベラスケス、ブリューゲルなどと大好きな名画が目白押しの美術史美術館。併設のカフェも「世界一きれい」との折り紙つきです。
 昼飯はここと決めて入りました。街にはチャイニーズがあふれてますが、ここにくるとわたしたちと同じ日本人の老夫婦がやけに目立ちます。
 「ローストビーフ・サンドイッチ」を頼みました。かたいパンを二つに切って、ローストビーフなんかが挟まっています。ばらけなきようにナイフがグサリと刺さってます。
 スペイン巡礼で毎日のように昼飯に食べていたボガティージョを思い出す、懐かしい味です。 
 

 奥さまのジョッキは0.2L。「これなら飲み干せる」というかわいさです。

 大きなドームの下にあります。

 見上げればこの通り。

 正面玄関から階段を上がると、グスタフ・クリムトが意匠を仕上げた壁があります。その向こうがカフェです。

 フェルメールの「絵画芸術」が、あまたの絵の1枚として当たり前に飾られています。「マルガリータ王女」とも再会しました。購入した絵はがきです。

ウィーン アパートメントホテルでご飯にほっこり

 ウィーンにやってきました。1週間ほど滞在します。
 奥さまが友達に薦めてもらったアパートメントホテルにチェックインしました。調理設備も整った長期滞在者用の広々としたホテルです。
 さっそく電子レンジを使って、持ってきた「サトウのご飯」を温めます。塩昆布もちょっとケチケチしながら振りかけます。フリーズドライの味噌汁もあって、最高の夕食です。

 KLMでアムステルダムまで隣の席だった、イタリアの斜塔で有名なピサの研究施設に戻るという京大卒の数学者の若ものとは、合唱から料理まであれこれと話がはずみ、退屈しませんでした。その話からさっそく実践したのが、生ハム巻きです。「生ハムって、ちょっと塩気があって、日本のノリみたいなものですよ。白米、炊いて、これで包めばサイコーですよ」
 なるほど、うまい!

 窓の下はリンクです。昔の城壁を取り除いた後に造られた環状道路です。まだトラムも走ってきません。

 午前4時のシュテファン大聖堂です。4回目の再会です。

二度寝して、ぐっすりと休みました。午前7時のウィーンです。
 シュテファン大聖堂から王宮までが見渡せます。

 映画「第三の男」で有名なプラーターの観覧車も見えます。

 ホテル最上階(9階)の大きな部屋です。ただしシャワーしかないのが難点です。バスタブのある部屋に代えてもらうことになっています。この眺めも、今日限りです。

シャーフベルク登山鉄道で ♬ドレミの歌の世界へ

 映画「サウンド・オブ・ミュージック」は、家庭教師のマリアが子どもたちと山の上で「ドレミの歌」を歌うシーンから始まります。その舞台となったのが、シャーフベルク(1783m)です。映画にも登場した登山鉄道で登りました。
 山の上からは、ザルツカンマーグート地方の山々と、ヴォルフガング湖などの雄大な風景が広がっていました。
 一泊したザンクト・ヴォルフガングの村はずれにある湖岸駅です。真っ赤な蒸気機関車が待機しています。

 山のこう配に合わせてタンクが傾いています。

 SLが押し上げるこの光景は、絵ハガキでしか見ることができませんでした。

 山頂までの往復切符(39EUR)を買って乗り込みます。帰りの列車も指定してくれました。

 9時20分発の始発列車は、ディーゼル機関車が押し上げました。力強くてスムーズな動きですが、ちょっと風情には欠けるようです。

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黄昏のザンクト・ヴォルフガング

 映画やオペレッタの舞台となったヴォルフガング湖岸の町、ザンクト・ヴォルフガングが今夜の宿です。
 夕飯は、湖で獲れる魚料理の店に出かけました。ところが予約をしていなかったのでアウト。別の店でサーモンを頼みました。香ばしくローストされています。肉は早くも食傷気味ですが、これならおいしく食べられます。

 澄んだコンソメパンケーキの切りくずが沈んだスープも、その温かさからほっこりとします。

 「エーデルワイス」は、小麦の味が新鮮なビールです。

 べナッキー作曲のオペレッタ「白馬亭にて」(わたしはしりません)の舞台となった老舗ホテル「白馬亭」です。こちらにも魚料理がおいしいというレストランがあるそうです。

 わたしが泊ったのは、旧市街の真ん中にある左から2軒目のホテルです。ゆったりとした部屋です。

 土産物屋が軒を連ねています。入浴用の塩を買いました。

 わたしが引き込まれたのはこちら、ぶりき細工のおもちゃです。
 シトロエンの2CVでもあれば、もっい心惹かれたでしょう。

 遊覧船の運航が終わった船着場です。

 向こうの山のとがり方は、何度見ても飽きません。

 大聖堂の庭からの眺めも絵になります。

バート・イシュルはまたも素通り

 昼飯は、バート・イシュルの駅で簡単にサンドイッチでした。
 インスブルックにさよならをして、レールジェット(特急)でザルツブルクへ。すぐに駅前からポストバスに乗り換えてバート・イシュルにやってきました。
 ミュージカル「エリザベート」のモデルとなっているシシーが16歳のとき、オーストリア最後の皇帝となるフランツ・ヨーゼフ一世に見初められたのが、ここにあるカイザー・ビラです。
 ところが、スーツケースを預けるコインロッカーはおろか、預かってくれそうなところが見つかりません。ビラの見物はあっさりと諦めて、駅構内のカフェでサンドイッチをかじりました。トマトとキュウリ、ゆで卵に何か葉っぱと、安心して食べることができます。

 飲み物は、シュトルムです。ブドウが発酵してワインになる前のジュースです。うまいです。

 バート・イシュルの駅です。
 ハルシュタットからザルツブルグに向かっていた9年前の旅でも、ここでバスに乗り換えましたが、素通りでした。

 ハルシュタット方面からやってきたOeBB(オーストリア国鉄)の列車です。

 駅前には古い蒸気機関が展示されています。

 観光馬車が戻ってきました。

 この後、バスで素通りした町の中心は、かわいくて素敵な町のようでした。

 今夜はザンクト・ウォルフガングという湖畔の村に泊まります。あすは、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の冒頭の場面にも登場するシャーフベルク登山鉄道に乗ります。

蒸気機関車に押されてアッヘンゼーへ

 インスブルックからOeBB(オーストリア国鉄)の各停で東へ半時間ほど。イェンバッハという駅の隣のホームからアッヘンゼーバーン(アッヘンゼー鉄道)は走り始めます。アルプス山中の澄んだ湖へ、蒸気機関車で向かいます。
 アッヘンゼー(アッヘン湖)まで7キロほどの区間に、19世紀末に製造された蒸気機関車が走っています。急こう配を登るラックレール式の蒸気機関車で定期運行されているものとしては世界最古だそうです。
 130年も前に製造されたとは思えない蒸気機関車です。胴体のタンクが傾いているのは、急こう配でもタンクを水平に保つための工夫です。

 急こう配を登るため、蒸気機関車は後部から押します。連結器が外れて、客車だけが坂を下ってしまうアクシデントがないようにしています。

 汽笛一声、列車がスタートしました。おじいちゃんの車掌は、客車のステップを伝って検札に回ってきます。

 シュッシュ、ポッポと白い煙を噴き上げ進みます。

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インスブルック 雪に咲くエーデルワイス

 インスブルックの南の山、パッチャーコーフェルまで上がりました。ロープウエーの山上駅(1965m)も雪の世界です。「アルペン植物園」も雪をかぶっていますが、入ってみるとなんとエーデルワイスが咲いているではないですか。
 マッターホルンの麓の山で自生しているのを見たことがあります。でも、雪をかぶっても凛として咲き続ける姿は感動です。オーストリアの国花になっているのもわかります。

 エーデルワイス、エンチアンとともに3大名花といわれるアルペンローゼは、ご覧の通り。エンチアンとともに咲いているのが見たいです。

 花の名前はゆっくりと調べます。

 寒さに耐えています。

 麓の村、イグルスはインスブルック冬季五輪でリュージュやボブスレーの会場でした。スキーリゾートになっています。

インスブルック 雪のハーフェレカーへ

 インスブルックの北にそびえるノルトレッケ連峰(「北の鎖」の意味)に上りました。
 ハーフェレカーという標高2334mの展望台へは、最新式ケーブルカーのフンガーブルクバーンと2つのロープウエーを乗り継ぎました。
 王宮の近くにある地下駅で待っていると、まるで地下鉄のように折り返しの車両がやってきました。これがケーブルカーでした。

 出発すると、水平の地下軌道を走り、イン川の鉄橋を渡り、途中駅に止まりました。地下で下ってきた車両とすれ違い、やっと急な登りになりました。

 次はロープウエーでした。大きなカーゴでした。すでにシーズンオフなのか、客はまばらでした。

 山肌には雪が積もっていました。残雪ではなく、新雪であることがわかりました。

 鋭い岩峰が目の前でした。

 2つ目のロープウエーに乗り継いでハーフェレカーに着きました。
 外は真っ白な雪の世界でした。視界は数十メートルほどでした。

 奥さまは早々にリタイアしました。正解でした。

 わたしはもう少し歩きましたが、積雪は20センチほどにも達していました。それ以上、進むのは、ショートカットのウォーキングシューズではとても無理でした。
 先へ進んでいったのは、装備をしっかりとした登山者だけでした。

 展望台からは街を見下ろそうにも、雲ばかりでした。

 ホウホウの体ですぐに逃げ出しましたが、下ってくるにつれて視界が広がりました。

 アルプと呼ばれる牧草地帯にはヒツジ(?)が放し飼いされていました。

 最初の乗り継ぎ駅、フンガーブルクまで下ってくると、やっとインスブルックの街が見下ろせました。

 泊っているホテルや、旧市街がよく見えました。

 向こうの山すそには、インスブルック五輪で使われたスキーのジャンプ台がそびえていました。

インスブルック マルクト・ハレのマルガリータ

 インスブルックでの「きょうの昼飯」です。
 マルクト・ハレは新鮮な食材が並ぶ屋内市場です。真っ赤なトマトやザクロの実ではないかと思える小粒の赤い粒、旬を迎えるボルチーニ茸なんかが並んでいました。画像は改めてー。
 市場の一角で焼き立てのマルガリータをいただきました。2人で1枚で十分でした。「シェアする」というと、初めから2枚に切ってサーブしてくれました。トマトソースがちょっと塩辛いですが、パリッと焼けた皮がうまかったです。

 お決まりのビールは「ノーマルビル」と頼んだ「Radler/sauer」でした。サーブしてくれた兄ちゃんを見ていると、ビンから注いだビールを炭酸水かなにかで割っているようでした。さっぱりとした口当たりで飲みやすかったですが、アルコール分は薄めでした。

 La Piccolaというマルクト・ハレの一角にあるピザの店でした。

 マルクト・ハレを歩いていて、最初に足を止めたのはこちらでした。
「Sturm」は、ウィーンのホイリゲでこの時期にしか出回わらないワインになる前のブドウ・ジュースのようなものです。口当たりはいいですが、それなりに回ります。

 ゴクリと奥さまもご満悦でした。

 1リットル瓶も並んでましたが、さすがにこれをホテルに持ち帰ることはありませんでした。