京の三十三食 三十三番 木屋町 ルアン鮒鶴の川床フレンチ

 「京の三十三食」は、結願(けちがん)の33番となりました。本日、33回目の放射線照射を受け、がん治療はひとまず終了しました。
 祝いの宴というほどでもありませんが、「ルアン鮒鶴京都鴨川リゾート」で、奥さまと「川床フレンチ」をいただきました。
 わたしのメーンは「奥丹波鶏のロティ 京の季節野菜と共に」です。ひと切れの鶏ですが、パリッと焼けた皮もすばらしく、野菜とともに豊かな味わいでした。

 前菜は「鱧の湯引きと夏野菜のタブレ」ということです。
 繊細に盛りつけられています。

 京の夏の魚、鱧は紫色の柴漬けをベースにしたソースでいただきました。

 この日まではと耐えてきた禁酒です。ところが、周辺の臓器もダメージを受けいるとのことです。待ちわびた解禁は、当分はお預けとなってしまいました。
 7月24日以来、暑い夏の間、ノンアルコール・ビールでガマンしてきました。慣れてしまえば、それなりにおいしくはあります。

 「南瓜と汲み上げ湯葉の冷製ポタージュ」が、スルリと喉を滑ります。

 奥さまのメーンは「鱸と小烏賊のソテー ハーブバターソース」です。ひと切れ、いただきましたが、ぷっくらとおいしい鱸でした。

 ほんのり温かなパンは、お代わりをいただくほどした。

 「グレープフルーツのわらび餅と上林春松本店のほうじ茶のソルベ」です。

 アイスコーヒーで口直しをしました。

 鴨川右岸の土手から突き出した川床(ゆか)の上でいただきました。京の夏の風物詩です。
 天気はあまりよくなかったので、かえって助かりました。時折、心地よい風が吹き抜けて、季節は秋です。

 岩の上にじーっとしていたサギが、ちょっと飽きたのか体をほぐしました。

 平日ですが、そこそこの客が床を楽しんでいました。
 ちなみに床(とこ)と読むと、洛北・貴船の川辺の料理となります。 

 古い料理旅館、鮒鶴をレストラン・グループなどを運営する「LE UN(ルアン)」が引き継いでいます。

 ルアン鮒鶴京都鴨川リゾート
 075-351-8541
 京都市下京区木屋町通松原上ル美濃屋町180

 登録有形文化財に指定されている鮒鶴を見学しました。
 同じグループのルアン神戸迎賓館もそうでしたが、快く案内してくれました。
 

 ゆったりとした1階のダイニングです。

 「京都で2番目に古い」というエレベーターで4階に上がりました。ちなみに一番古いのは、四条大橋の畔にあるヴォ―リス建築の東華菜館だそうです。

 川床とは違った京の町並みです。正面の三角屋根が南座。向こうの比叡山は雲をかぶっています。

 鐘楼のようにそびえる建造物は、エレベータのモーター室を覆うカモフラージュでした。

 正面は東山の峰と清水寺です。

 新館4階の広間です。結婚式ができるチャペルに設えられています。

 椅子に座ると、金屏風に代わって額に収まったような風景が広がります。

 2階には、披露宴にぴったりの大広間があります。

 天井には鯉が泳いでいます。
 鴨川に映る月光の反射を取り込むように設計されているそうです。

 1階に降りる階段です。手すりの位置が低いです。昔の日本人の体格に合わせていたのです。

 玄関の三和土は鞍馬石の一枚石です。

 鮒鶴の旧正面玄関です。
 鮒鶴は明治3(1870)年、田中鶴三郎が鮒などの川魚仕出屋として開業しました。「鮒の鶴さん」で鮒鶴です。
 現在の建物は大正14(1925)年に竣工した旧館と、昭和9(1943)年に増築された新館が南北に連なる五層楼閣建築です。

 玄関では、立派な彫り物の鶴が鍾馗さんとともに迎えいれてくれます。

 すぐ南にかかる松原橋を渡りました。シーズンだけ現れる川床の構造がよくわかります。

 わたしが学生時代には、鴨川左岸上を京阪電車が走っていました(現在は地下化)。通学する特急の窓から鮒鶴が見えたのを覚えています。