大阪・フェスティバルホール 反田恭平のベートーベンP協第4番

 大阪・中之島のフェスティバルホールで「バーゼル室内管弦楽団日本ツアー2024」を聴きました(3日)。お目当てはベートーベンのピアノ協奏曲第4番、ピアノは反田恭平でした。
 ピアノソロで弾き始めるコンチェルトです。反田くんの柔らかい音色が響きました。
 これまでにも反田+JNO(ジャパン・ナショナル・オーケストラ)の演奏は何度か聴いています。反田くんの弾き振りでした。この夜は、登場したときからリラックスした雰囲気でした。
 オーケストラと語り合うようなピアノです。柔らかな最弱音に引き込まれました。

 この夜のピアノは「Shigeru Kawai」でした。スタインウェーの極彩色のようなきらびやかさとは違った、山水画のような濃淡を表現しているようでした。

 アンコールでは、子犬のワルツとトルコ行進曲の限りなく優しい2曲をサービスしてくれました。
 こんなのを小林愛実との間に生まれた坊や(?)にも聞かせているのだろうかと、微笑ましくなりました。

 3階までで2700席もある大きなホールです。チケット代をちょっとケチったので、後ろから3列目でした。
 古楽器を使っているという小編成のオケの響きは、残念ながら私までは十分には届きませんでした。
 同じ小編成のJNOを同じホールの6列目で聴いたときは、ヴァイオリンや管の細やかな動きを目の前にして感激したのを思い出しました。

 指揮はアンドレアス・オッテンザマーでした。 腰から下の長い、見ていて格好のよい指揮ぶりでした。
 ベルリンフィルハーモニーで、いつも目が行くフルートのエマニュエル・パユの2人ほど横でクラリネットを吹いている端正な顔をしたその人でした。よく似た顔をした兄のダニエル・オッテンザマーはウイーンフィルハーモニーのクラリネット、父もウィーンフィルの元首席という音楽一家です。

 演奏会の前に、フェスティバルプラザ地下1階にある「ピッツェリア&バー マーノエマーノ 中之島」で軽く食事しました。
 昨年12月、モーツァルトが亡くなった同じ日、時間に、その葬儀も行われたウイーンのシュテファン大聖堂で反田くんが指揮する「レクイエム」を聴きました。その合唱団の一員だったSさんとご一緒しました。奥さまの大学混声合唱団の後輩でした。

 ウイーンの思い出で盛り上がりました。
 反田くんが練習中に指揮棒では伝えきれなと思ったのか、横のピアノで弾いてくれたそうです。「マエストロがラクリモーサを最後まで弾いてくれて感動しました」

 パスタ2種とピザをおいしくいただきました。

 フェスティバルホールの、建て替え前も思い出させる立派な赤ジュータン階段です。音楽会なんだという雰囲気を盛り上げてくれます。