「船形万灯籠」の西賀茂・船山と正伝寺

 京都五山送り火の3番目に点火される「船形万灯籠」がある船山(317m)に登りました。送り火の火床は、東山の大文字を除くと、どこも入山禁止です。背後の船山の頂上から火床の最上部まで下ってきました。
 大文字山、妙法が灯る松ヶ崎東山・西山、そして比叡山までが臨めます。
 船山の頂上には、保育園児の卒園記念登山のプレートがたくさんぶらさがっていました。わたしの足にもぴったりの京都低山ハイキングでした。 

 デヴィッド・ボウイが愛した涙した静寂です。
 麓の正伝寺に参りました。方丈の障子越しに見る借景の比叡山です。

 苔むした参道にも静けさがありました。

 西方寺の境内には、馬酔木が鈴なりでした。
 船形は、西方寺の檀家によって維持されています。


 【2021/03/07 10:18】
 阪急-京都市バスと乗り継いで1時間ちょっと。西賀茂の神光院で下車しました。

 これから登る船形が見えています。

 京都ゴルフ倶楽部舟山コースを横切ります。
 ゴルフボールに直撃されないように、安全確認ボタンを押して注意を呼びかけます。

 はるか先のグリーン上にプレーヤーの姿が見えます。

 車が走れる舗装路ですが、かなりの勾配です。

 火床へとつながる道は、ここで通行止めです。

 西に向いて山道は続いています。上りが急になります。

 マウンテンバイクの2人組とすれ違いました。山中で出会ったのは、この人たちだけです。

 尾根まで登ると、赤いテープが巻かれた三叉路です。右(東)に折り返します。

 船山はこの上です。

 【10:59】
 船山の頂上です。見晴らしはありません。
 万灯籠山、西賀茂山とも呼ばれます。

 火床に向けて東に斜面を下ります。

 5分ほど下れば、立て看板が現れます。ここからは立入禁止です。

 ちょっと横に歩くと、目の下に火床があります。
 送り火の火床は、どこも京都御所を向いています。
 大文字の火床と同じ格好です。船形の帆柱の最上部の一番明るい松明が、ここで焚かれるのです。

 東山の大文字の20分後に点火されます。
 手前の緑は京都府立植物園。そして賀茂川です。

 横切って来た京都ゴルフ倶楽部がよく見えます。

 元来た道を引き返し、もう一度、船山を越えます。

 赤いテープの三叉路でVターンします。

 釈迦谷山かその先の山でしょうか。

 下ってみると、思いのほか急です。きょうはストックを持ってきませんでした。スリップしないように慎重に下りました。

 京都ゴルフ倶楽部のクラブハウス前から振り返りました。

 【11:41】
 正伝寺にやって来ました。

 拝観料400円を納めましたが、方丈はわたしのためにリザーブされていたかのように他に拝観客はいませんでした。

 時おり、小鳥がさえずるだけで、静かな獅子の児渡し庭園です。
 白砂敷平庭でサツキの刈り込みによって七五三調を表現した枯山水だそうです。

 方丈の血天井です。
 関ヶ原の戦いの直前、伏見城落城で立て籠もっていた兵が割腹した血染めの廊下が、移築されて天井になっています。
 同じ材を使った天井は他にもあり、私が檀家である宇治・興聖寺にも同じ血天井が残っています。

 かわいい鐘楼です。

 送り火の船の形は、承和14年(847)、唐からの帰路に暴風雨にあった西方寺の開祖・慈覚大師円仁が「南無阿弥陀仏」と名号を唱えたところ無事到着できたという故事にちなんでいるそうです。

 こんなところで東海自然歩道の道標と出会いました。どんなルートをたどっているのか、調べてみます。

 神光院は、東寺、仁和寺とともに「京都三弘法まいり」の寺として参られます。わたしも四国お遍路に旅立つ前にやって来たことがあります。

 ここまで来れば「西賀茂チーズ」の「菓欒(カラン)」は素通りできません。
 土産に買って帰りました。

 パティスリーカラン
京都市北区西賀茂坊ノ後町15
075-495-0094

 これまでの西賀茂チーズ

 さっそくおやつにいただきました。
 西賀茂、さくら、抹茶の3種類です。フィルムに船形がデザインされています。しっとりとした軽いお味です。