丹波篠山・福住:その2 けせら工房の優しすぎる色いろ

 「行ってみたいとこがあるの」と助手席の奥さまからの提案でした。予定外に京都縦貫道を千代川ICまで走り、1時間もかからずに丹波篠山の福住までやってきした。
 お目当ての「けせら工房」です。
 森で育てた植物や藍で染色したり 綿から糸を紡いで布にしたり 竹を切りひごを作りカゴを編んだり ~そんなコンセプトの工房でした。
 奥さまは気に入った草木染の綿布と刺し糸をお買い上げです。 

 窓から射しこむ日を浴びて、暖かそうです。

 パステルではなく、ナチュラル・カラーです。

 韓国のポシャギ風です。

 染料となる草木がグツグツと煮えています。
 たっぷりと時間をかけて染まります。

 軒下が華やかです。

 2歳半の女の子が、裸足で駆け回っていました。

 工房の場所がわからず、ちょっと探しました。あぜ道の先にありました。

 横の畑では、黒豆が実をつけていました。

 わたしが気になったのは、さりげなく置かれていたこのスピーカーでした。ご主人はジャズ・ギターを演奏されるとかで、オーディオにも関心がおありなのでしょう。

 福住Part1で紹介したMAGMUN COFFEEでも、天井の梁に同じとおもわれるスピーカーがありました。
 調べるてみと、エムズシステムというメーカーの波動スピーカーのようです。MAGMUNでは静かに音楽が流れていましたが、もう一度、その実力の音を聞きたくなりました。

 けせら工房
 丹波篠山市福住308

丹波篠山・福住:その1 MAGNUM COFFEEのアメリカーノ

 ちょっとドライブのはずが、思いがけずも遠くまできてしまいました。丹波篠山の東の端、古民家を改装した店が並ぶ古くて新しい宿場町・福住です。目的地は別の店だったのですが、そこで「コーヒーがおいしいですよ」と紹介されました。
 MAGNUM COFFEE(マグナム コーヒ)のデッキに座り、お薦めのアメリカーノを楽しみました。
 「アメリカンではありません」とのことでした。エスプレッソを湯で割っているいそうです。
 コーヒーはあまり飲まないので、さして違いはわかりません。でも、そのまろやかで深い味わいを感じることができました。

 店の許しを得て持ち込んだパンをいただきました。
 自宅に近い京都・大山崎のパヴェナチュールで買ってきた「フォカッチャの生ハムサンドイッチ」です。シコシコとしたパンと生ハム、パリッとしたレタスの食感が素敵です。

 ここがわたしたちの特等席でした。

 空気がひんやりとしていました。紅葉が始まっています。

 ゆっくりと時間をかけてコーヒーを淹れ、デッキまで運んでくれました。
 客は他に1組だけでした。

 古い小劇場を改装しているそうです。舞台も残っていました。

 もちろんコーヒー豆の袋売りや、ケーキなども並んでいました。

 福住を抜けるデカンショ街道(篠山街道)に面しています。店の前が一里塚でした。
 
 MAGNUM COFFEE(マグナムコーヒー)
 079-506-2610
 丹波篠山市福住317

 伝統的建造物群保存地区となている街道を歩いてみました。

 趣のある建物が並びます。

 トリコローレがはためきます。イタ飯屋さんでした。今度は、こちらでいただきたいものです。

 こちらはケーキ屋さんでした。

木曽・馬籠宿 近江屋の山菜そば

 旅の2日目(21日)は、昼から雨になりました。
 伊那谷から権兵衛トンネルを抜けて木曽谷に入りましたが、奈良井宿は横目に。上松辺りでは、ワイパーを高速にしても視界不良の土砂降りとなりました。妻籠宿も車からは下りずに通過して、峠を越えると馬籠宿です。ここで雨は止みました。
 観光客に混じってぞろぞろと石畳の宿場を歩き、「近江屋」で山菜そば(700円)をすすりました。

 1杯で千円を超すようなこだわり手打ちのそば屋が多いです。それに比べると、こちらは極めて大衆的でした。そばはなんとか製麺製かもしれませんが、たっぷりの山菜もはいって充分においしかったです。
 雨カッパを着て歩いて峠を越えてきたような、価格に敏感な外国人もやってきて、そばをすすっていました。

 人気の五平餅は、扁平ではなく団子三兄弟型(古い!)です。クルミやゴマがすりつぶして混ざっています。それほど甘くはありません。口直しの漬け物もついていました。

 近江屋
 0573-69-2412
 岐阜県中津川市馬籠4308-1

 島崎藤村の生家でもある馬籠宿本陣は文学館になってます。大昔に入ったことがありますが、内部はすっかり忘れています。
 トウソンって誰?という大方のインバウンドと同様に、わたしも素通りしました。
 とにかく外国人が多いです。スペインのサンティアゴ巡礼路で知り合ったイスラエル人のおっちゃんも、「ナカサンドーを歩いたことがある」と自慢していたのを思い出しました。

 有名な栗きんとんの店です。
 創業の元治元年(1864)って、都では蛤御門で禁門の変が起きるなど幕末の動乱期でした。

 そば屋や五平餅の看板を眺めながら、宿場の坂を下りました。

 馬籠宿は、中山道の43番目の宿場です。

伊那 かんてんぱぱガーデンのテラス席

 千畳敷カールから降りてきて、次に向かったのは「かんてんぱぱガーデン」でした。南と中央の2つのアルプスに囲まれた南信州・伊那谷の新しい観光スポットです。約3万坪のガーデンにレストランや美術館、ショップなどが並びます。
 かんてんメーカーの伊那食品工業の本社・工場周辺に広がっています。
 monterinaと名付けられた複合施設の2階テラス席で、1階のKAFE&BAKERYで買ってきたパンとカフェラテをいただきました。

 「クッラムベリークリームチーズ」は、なんとかんてん入りのパンです。もっちりとおいしいです。

 向こうの南アルプスの稜線は、雲に隠れていました。
 一瞬だけ雲が流れました。仙丈岳かなと思わせるピークが頭を見せました。

 ゆったりとしたカフェスペースです。

 2階のSHOPには、東京発のデザインショップとのコラボ商品が並んでいます。

 わたしが目を止めたのは、模型ヒコーキでした。うまく飛ばすと、上空をルールして戻ってくるそうです。孫は喜んでくれるだろうかとゲットしました。

 山野草園には、花のシーズンは外れてもきれいな花が咲いていました。
 スイレンがひっそりと咲いていました。

 カキツバタが今ごろ咲いています。

 シクラメンでしょうか?

 派手さが目をひくホトトギスです。

 可憐なリンドウも咲いています。

 千日紅が真っ赤です。

 かんてんぱぱショップには、かんてんを使った商品が満載です。

 かんてんぱぱガーデン
 0265-78-2002
 長野県伊那市西春近広域農道沿い

買いまくった!! ツルヤ伊那福島店と昼神温泉朝市

 「ツルヤで買い物」が、旅のひとつのテーマでした。
 ツルヤは、群馬、長野両県に40数店舗を出店する地元スーパーです。食肉や野菜などの生鮮食品に加えて、数多くのオリジナルの加工食品が並びます。
 ワインのコーナーでわたしの足は止まりました。なに、この安さ。スペイン産のテンプラニーリョ(ワイン用ブドウの品種)の赤ワインがたったの300円ほどでした。
 サンティアゴ巡礼で、毎日のように飲んでいた赤ワインでした。とりあえず2本をワゴンのカゴに入れました。さらに500円台の別の銘柄も。これがおいしければ、長野県に引っ越すぞとすら思わせるシロモノでした。

 1本で何千円もするようなワインは、毎日飲むにはお呼びではありません。こちらにはコルクではなく、千円未満のスクリューキャップのリーズナブルなのが並んでいました。

 ビールコーナーには、初めて見る軽井沢ビールがいく種類もありました。全部、飲み比べたい!

 ズラーッと向こうまで酒類が並ぶさまは壮観です。

 つぶ野菜ケチャップは、タマネギやトマトが粒状に入っているケチャップです。パスタに使えばおいしそうと、手が伸びました。

 蕎麦までオリジナルです。
 ツルヤ・オリジナルの白色を基調にしたパッケージの商品がいっぱいです。

 奥さまは、どちらの生七味にしようかと思案中です。
 5月に友だちと行った松本のツルヤでみやげに買って、おいしかった品です。娘からリクエストされていました。両方をお買い上げです。

 ピスタチオも安いです。
 どれも2~300円のものばかりなので、つい財布のひもが緩んでしまいます。

 いくつ買うの?

 探していたりんごジュースは、すでに完売でした。

 新鮮そうな野菜なんかも満載でした。

 買ってしまいました。レジを通過すると、1万円を超してました。
 でも、そんなのは珍しくありません。地元民らしき多くの客はカゴに2杯ほども買い込み、1カゴすべてが入りそうなバカでかいショッピングバッグに詰めていました。長野県人って豊かなのですね。

 ツルヤ 伊那福島店
 0265-71-7811
 長野県伊那市福島178-1

 伊那谷を北に上り、そのうちに諏訪湖というあたりの交通の便がよいバイパス沿いにありました。広い駐車場がありました。

 1泊した阿智・昼神温泉では、朝市が立っていました。
 このトマト屋の前には行列ができていました。魅かれて並びました。

 愛想のよい兄ちゃんが、トマトを一つ一つ選びながら袋に詰めてくれました。600円でした。
 おおかたの水耕栽培ではなく、自家農園で栽培しているので絶対においしいと勧めるトマトでした。

 野沢菜が100円です。これは野沢菜漬けをつくらなくては。

 おやきもいろんな具が並んでいます。

 朝イチに何も飲まずにやってきました。喉が渇いたので頼んだリンゴジュースが、たまらなく自然に甘かったです。

 もちろん、リンゴも買いました。
 他にもネギや野菜、マイタケとあれこれと。

 昼神温泉
 長野県下伊那郡阿智村智里

中央アルプス 千畳敷カールのもう晩秋

 中央アルプスの千畳敷カールを歩きました。4日ほど前に急に思い立ち、ネットで1夜の宿だけ予約しての旅でした。
 氷河が削り出してできたカールは、高山植物が咲く雲上の楽園です。でも花のシーズンには外れ、全山が赤や黄色に染まる紅葉にも遅すぎました。
 あいにくの天気となり、ガスが終始、宝剣岳を覆っていました。カサをささなくてもよかったのが幸いで、一瞬ながら晴れ間ものぞいて雄大な景色を楽しむことができました。

 木曾駒ヶ岳につながる八丁坂の登りです。ガスの彼方が乗越浄土ですが、もはやわたしとは縁のない世界になりつつあります。

 ガスが晴れて宝剣岳の岩峰が姿を見せました。剣が池に咲くナナカマドの赤い実がきれいでした。

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自分でつくる オイルサーディンのパスタ

 どこで買ったのかも忘れたようなオイルサーディンが出てきました。パスタのソースに混ぜ込みました。
 そのまま食べてもうま味たっぷりなイワシです。オイルとの相性も抜群です。
 オイルサーディンにしてはやや大ぶりのイワシが3尾入ってました。1尾はオイルソースでグチャグチャに崩してしまい、2尾はトッピングしました。これも食べるときに崩したのですから見た目、いや映えを意識しただけです。

 塩ねぎは輪切りしました。あとはニンニクを刻んだだけです。

比叡山 戦争で消えた廃墟3連発

 比叡山に登りました。京都で育った人にとっては、朝夕に見上げる東北の目印の山でした。小さなころから数えきれないほどその山上を歩いています。
 京都市街を見下ろすケーブル比叡の横には、現在は「HIEIZAN」の大きな文字があります。ところが、その歴史を調べると、といっても僧兵が都に直訴で降りてきた白河法皇の時代ほどではなく、昭和の初めから戦中にかけてのころです。現在とは違う初代のロープウェイ、比叡山空中ケーブル(叡山空中ケーブル)が架かっていて、その駅舎が今も廃墟となって残っていることを知りました。
 わたしが子どものころに怖さに震えた「お化け屋敷」は、戦前に6年間だけ営業した叡山ホテルの跡地につくられていました。その建物も残っていました。
 知らなかった3つの廃墟を巡りました。

 【廃墟1】
 空中ケーブルの高祖谷駅跡です。昭和3(1928)年から19(1944)年まで使われていました。
 ケーブル比叡から20分ほど廃道を歩いた先に残っていました。

 【廃墟2】
 空中ケーブルの延暦寺駅跡です。
 釈迦堂近くに外壁が残っています。

 【廃墟3】
 ケーブル比叡の近くには叡山ホテル跡がありました。
 戦後、ここが夏季の「お化け屋敷」に使われていたようです。

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京都・錦 冨美家のしっぽく 豆英の塩豆

 京都の錦市場は、きょうもインバウンドであふれかえっていました。京の台所といわれてきましたが、魚屋など古くからの店はすっかり姿を消して、立ち食いできる串ものなんかの店が幅をきかせています。
 冨美家は、わたしが幼かったころから同じ場所にあります。近くの百貨店まで買い物にやってきた後に、ここで甘いものを食べさせてもらうのが何よりの楽しみでした。映画「ビバ・マエストロ」を見た後に、ちょっと遅い昼飯にしました。「しっぽく」(850円)です。「上七軒 ふた葉」で食べたばかりです。でもここにくればはずせません。
 具沢山です。板麩に生麩、湯葉や肉厚の椎茸が覆っていて、肝心のうどんが見えません。

 あたり前ながら柔らかいうどです。主役のハズですが、あまり主張はなくて控えめです。
 ちょっと甘めの出汁がすべてのキャストを調和させています。

 「季節のかやくごはん」(+250円)もセットです。こちらにもたっぷりと具が混ざっています。

 奥さまから「二つは食べられない」と回ってきた餅です。もちです。もっちりとうまいです。

 この店の名物「冨美家鍋」です。奥さまの前でぐつぐつと煮えています。「昔はアルミかなにかの鍋で、えび天は入っていなかった」と、高校生時代の記憶です。

 昔あった甘いあんみつなんかも姿を消しています。

 丸竹夷二押御池~。京都の人ならだれでも知っています。東西の通り名を連ねています。通販のパンフレットです。

 冨美家 錦店
 075-221-0354
 京都市中京区錦小路通堺町西入中魚屋町493

 錦を抜けて歩いていると、「豆英」の店頭に、なんと塩豆が並んでいました。
 ここ何年もの間、探し続けていた幻の豆菓子でした。昔はどこでも手に入りました。高血圧を気にして敬遠している間に、姿を消してしまいました。それがありました!!
 もちろん1袋、お買い上げです。たったの340円でした。他にも懐かしい昭和のお菓子が並んでいました。

 これからは、塩豆が食べたくなったらこちらへ行きます。

 豆英
 075-221-0982
 京都市中京区高倉通四条上ル帯屋町573

 風呂上がりにいただきました。ジムビームのハイボールとともに摘まみます。いや、いいですね。最高のアテです。

「ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦」 ブラボー!!

 ベネズエラの若き指揮者、グスターボ・ドゥダメル。「栄光と苦悩そして挑戦に密着したドキュメンタリー」(パンフより)の映画「ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦」を、京都・烏丸御池の新風館にある「UPLINK 京都」で見ました。待ちかねていた上映初日でした。
 1時間50分の上映が終わった瞬間、まだ暗い客席で立ち上がり、「ブラボー!!」と叫びたくなりました。コンサートではありませんので、当然ながら拍手もありませんでした。「よかったね」と奥さまと相槌をうちました。
 「ダ ダ ダ ダ~ン」。ベートーベンの交響曲第5番「運命」の出だしの4音が、わかりやすい口伝と指揮により、生き生きと精気を帯びました。小さな体全体から音楽が沸き上がってきました。
 2026年にはラテン系指揮者として初めてニューヨーク・フィルの音楽監督就任が決まっています。でも映画は、クラッシック界の新ヒーロー誕生物語では終わりません。
 激動の祖国・ベネズエラの現政権を批判したことから、祖国に足を踏み入れることができなくなりました。自身も育った音楽教育プログラム「エル・システマ」の創始者で恩師は死去します。それを乗り越えて同じ苦境に立つ仲間や、祖国の若い音楽家とともに奏で続ける挑戦が、ロサンゼルス・フィルやベルリン・フィルの演奏するドボルザークの「新世界」などの素晴らしいメロディーに乗って息もつかせないほどに展開しました。


 
 映画のパンフレットが売られていました。左下は、いただいたポストカードです。

 「UPLINK 京都」は4つのスクリーンがありますいが、合わせても200席ほどのコンパクトな映画館です。
 一番小さな38席のスクリーンでしたが、最前列を除くとほぼ埋まっていました。

 新風館の地下にあります。

 ドゥダメルは来年夏、ベルリン・フィルハーモニーとともに来日します。
 ベルリンで毎年行われている野外コンサート・ヴァルトビューネの引っ越し公演が河口湖畔で開かれます。これは聴ききに行くしかないでしょう。

 「ビバ・マエストロ!指揮者ドゥダメルの挑戦」予告編

 UPLINK 京都
 075-600-7890
 京都市中京区場之町586−2 新風館 地下 1階