京都人の密かな愉しみ その8 市比賣神社の名水「天之真名井」

 洛陽の七名水のひとつ、「天之真名井(あめのまない)」です。河原町五条を下がった一筋目を西にはいった市比賣(いちひめ)神社の境内にあります。
 「京都人の密かな愉しみ 夏」の挿入ドラマ「真名井の女」で、主人公の井戸掘りの青年を守るのが天之真名井の化身であり、その水です。
 美しい青竹から流れ落ちます。 

 神宝の天目椀「天之八塩(あめのやしお)」で汲み出された「若水(わかみず)」が、歴代天皇の産湯に用いられたという伝承が残っています。

 井戸の上には、姫みくじが並んでいます。

 絵馬を掛け、「天之真名井」のご神水を飲んで手を合わせると、心よりの願い事が一つだけ叶うと伝えられています。

 梅がつぼみを膨らませています。

 女人厄除けの神社で、この時も十数人が呼び込まれて祈祷を受けていました。

 市比賣神社
 075-361-2775
 京都市下京区河原町通五条下ル一筋目西入ル

 河原町をクルマで走るときは、いつも目にしてましたが、やって来たのは初めてです。

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今宮神社 黄葉と紅葉と

 京都の今宮神社を訪ねました。
 門前の黄葉が見事です。瓦土塀の向こうは大徳寺です。境内の竹やぶの緑とコントラストを描きます。
 今宮神社の境内は、ちょっと遅い紅葉です。それでも赤いです。

 大徳寺の瓦土塀は、昭和40年代に寺の修行僧が築いたそうです。
 

 黄色と赤のコントラストです。

 今宮神社に参るのも久しぶりです。
 奥さまは、このすぐ近くに住んでました。

 こちらは紅葉です。でもシーズンもお終いです。

 この方のおかげで、「玉の輿(たまのこし)神社」として知られるようになりました。
 西陣の八百屋に生まれた「お玉」が徳川3代将軍家光の側室となり、5代将軍綱吉の生母、桂昌院となったことが「玉の輿」のいわれだそうです。桂昌院は産土の社である今宮神社の再興にも力を尽くしたそうです。

 今宮神社の社地には平安建都以前より疫神(えきしん)を祀る社があったといわれます。長保3年(1001)に設けられた神殿三宇とともに今宮社と名づけられたのが起源だそうです。

 今宮神社
 京都市北区紫野今宮町21
 075-491-0082

 門前通の風景です。
 赤い大鳥居は、2年前の台風の被害を受けて、撤去されていました。再建を祈ります。

 角の店は、知らない人は通り過ぎる喫茶店です。「営業中」でした。奥さまが中学生だったころからあったそうです。

 40年ほども前に、ここで解体されていたグランドピアノの天板を見て、テーブルにしようかと夢想したこともありました。

京都人の密かな愉しみ その7 今宮神社「いち和」のあぶり餅とお玉の井

 京都・今宮神社の門前にある茶店「いち和」で名物のあぶり餅をいただきました。
 竹串に刺したつきての餅を炭火で焦げ目がつくほどにあぶって、甘い白味噌のたれをかけています。
 暖かな一日でした。軒先の床几に腰かけて熱いお茶をすすりながら味わいました。

 食べた後の青竹まで絵になります。

 注文を聞いてから、目の前で焼いてくれます。

 きょうは「いち和」こと、一文字屋和輔です。長保2年(ちょうど1000年)創業という老舗です。
 向かいには、同じあぶり餅の「かざりや」があります。江戸初期の創業ですが、それでも400年です。どういうわけか、そちらのを食べたことが多いです。

 こちらにしたのは、「京都人の密かな愉しみ」(NHK-BS)に登場した「お玉の井」を見たかったのです。番組では、京都の名水(井戸)のあちこちが紹介されました。その一つとして、NHK京都放送局勤務(当時)の井上あさひアナウンサーが訪れてレポートしていました。「ニュースウォッチ9」を降板したときは「あさひロス」と騒がれましたが、結婚が明らかになって、またまたざわざわしています。
 この竹垣の下が井戸です。

 断りを入れて、井戸に降りました。
 「たまに落ちる人もいはるから、気いつけてや」と諭されて。

 深い底から清水が湧き出ているようでした。

 今宮神社東門からの眺めです。
 左がいち和、右がかざりやです。

 一文字屋和輔 いち和 
 京都市北区紫野今宮町69
 075-492-6852

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京都・下鴨 旧三井家下鴨別邸を訪ねる

 近代京都の名建築、豪商・旧三井家の別邸だった「旧三井家下鴨別邸」を訪ねました。招かれたわけではありません。
下鴨神社の南、賀茂川と高野川が合流する三角点の先端にあたる部分にあります。かつては、隣にある京都家庭裁判所の所長官舎だったそうで、その存在すら知りませんでした。重要文化財に指定され、歴史的な建造物として3年ほど前から公開されています。

 南側の庭園に面した主屋の3階には、望楼が設えられていて東山の眺望が楽しめるそうです。五山の送り火の一等席でしょう。
 一般公開はされてませんが、11月に特別公開されます。

 背の高い樹木に囲まれて庭園と一体となっています。

 角度によっては4層建てにも見えます。

 1階座敷です。床の間には三井家の基礎を築いた三井高利の肖像画がかかっていました。

 障子越しに見る明るい庭園です。

 右側にある背の高いムクの木がシンボルになています。

 茶道の水屋もあります。
 この日も茶会が開かれていて、和服姿の婦人が大勢、おれれました。

 格子戸越しに見る内玄関あたりです。

 なにの実でしょうか。たくさん成っていました。

 いろんな線が交差します。

 旧三井家下鴨別邸
 075-366-4321
 京都市左京区下鴨宮河町58-2

 下鴨神社まで歩くと、糺の森では「森の手づくり市~秋の特別編2019」が開かれ、たくさんの店が連なってました。

 わたしが足を止めたのはこちら、銘木の端材です。
 オークやムクなど違った3本の拍子木を結んだようなものがありました。何にするのかと思うとー。なるほど、鍋敷きでした。中型のを買うと、「木工、興味ありませんか」と話しかけてきた店主が、「箸置きかバターナイフでも作ってください」と、いくつもの端材をくれました。

 ラグビーの聖地、「第一蹴(だいいっしゅう)の地」という石碑が立つ前では、少年たちがボールを追いかけていました。

 「下鴨神社杯 タグラグビー大会 ~第一蹴の地でラグビーを」という催しでした。
 対戦表を見ると、葵小、下鴨中、洛北高とわが母校のチームが名を連ねていました。
 ラグビーW杯の日本-南ア戦がある日でした。盛り上がるはずです。

京都人の密かな愉しみ その6 「Bar Forest Down」は名曲喫茶?

 「京都人の密かな愉しみ BLUE」(NHK-BS)で、修業中の若者5人が集う「御所南」にあるという「Bar Forest Down」を訪ねました。
 京都市役所のちょっと北西、御幸町二条を下がったところにあるカフェ「MOLE」がロケ地になっています。昼間に見ると、店の様子がわからないほどうっそうとした木々に覆われていますが、まちがいなくここです。木々の向こうから店のほのかな明かりがこぼれてくるシーンを覚えています。

 店内の様子は、番組とは違っていました。ゆったいりとしたソファーに腰かけてメニューを開けました。「玄米カレー」がメーンで、自家製パンのサンドウィッチ、それに飲み物と並んでいました。
 「キーママタルカレー」(700円)です。柔らかく炊いた玄米に、スパイシーなカレーがのってました。

 やさしくて、安心して食べられるカレーです。

 サラダがついています。ハートランドビールも忘れませんでした。

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京都人の密かな愉しみ その5 メゾン ド クレーム「むしやしない」を訪ねる

 「京都人の密かな愉しみ」(NHK BS)では、洛北・北山のケーキ店「メゾン ド クレーム」として登場してました。オムニバスドラマ「えっちゃん」の舞台です。
 ロケ地となった「むしやしない」で奥さまが頼んだのは「キャラメルオペラ」と「ウバ」の紅茶です。
 ひと口、いただきました。オペラは、チョコレートやケーキ地などが層になっているフランスのケーキだそうです。なるほど、パリッやシットリなどの違った食感が、控えめな甘さで口に広がりました。

 わたしが頼んだのはこちら。「アール・グレー」のアイスティーです。サービスに、抹茶味のラスク(?)がついてきました。

 ホットティーは、急須のようなポットにいれて出てきます。3杯分くらいは入っているようでした。

 オーガニック原料や米粉を使用した菓子も並んでました。

 目玉はこの「むしやしなべ」のようです。鍋の形をした焼き菓子にフルーツが盛りだくさんですが、価格を見てちょっとびっくりしました。おいそれとは手が出ません。

 来店者の寄せ書きなどが飾られた一角に「京都人の密かな愉しみ」の本も並んでました。

 「洛北 北山 メゾン ド クレーム」として登場したカット(NHK BSより)です。 

 当然のことながら、同じ光景です。テレビの印象よりはこじんまりとした店内でした。
 テレビの設定から、植物園の北側の北山通周辺にあるのかと思ってました。叡電(叡山電鉄)一乗寺のすぐ横です。ちょっと通りを入った辺りには、高校時代の友だちの家もあったはずです。

 店名のむしやしないは、「空腹を一時的にしのぐ食べ物」といった意味の京ことばです。「648471」と数字が充てられていました。

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 むしやしない
 075-723-8364
 京都市左京区一乗寺里ノ西町78

DAHONで走る 橋本の遊郭跡から山田池公園のショウブ

 折り畳みの小径自転車、DAHONで走りました。
 このところ、京都北山を一緒によく歩いているCさんに誘われました。DAHONを2台並べてのサイクリングでした。木津川、宇治川、桂川の川が合流するあたりの背割り堤でちょっと休憩です。桜並木の名所ですが、静かでした。
 コースは、阪急・水無瀬から時計回りに大山崎-八幡-橋本-牧野-山田池公園-宮之阪-枚方-枚方大橋-水無瀬と全長38.9kmに達していました。山田池公園のショウブが満開でした。

 京阪の線路わきにある橋本遊郭の歌舞練場(?)だった立派な2階建てです。ツタに覆われて朽ちようとしています。
 学生時代は、京阪特急で通学してました。毎日、ここを通ってましたが、知りませんでした。

 橋本遊郭の当時の建物が残っています。玄関に立派な浮彫の欄間がかかっていました。

 これが「飾り窓」です。きれいどころが嬌声を振りまいたのでしょう。窓の覆いは後世のものでしょうか。

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京都人の密かな愉しみ その3 玉井パン「まっしゅ京都」を訪ねる

 「京都人の密かな愉しみ Blue 修業中 送る夏」(NHK-BSプレミアム)で、「玉井パン」としてロケ地となったのが、四条烏丸近くの「Boulangerie MASH Kyoto まっしゅ京都」です。
 パン好きの京都の町になじんだ店です。ちょっと小ぶりのパンは、どれも優しい味です。
 これは、良く冷えた牛乳が欲しいです。ドラマの中にも、そんなセリフがありました。 

 1個が100円台。5個買って900円でした。普段使いの町のパン屋さんならではです。

 ロケ地として選ばれるのも納得の店構えです。番組では、西陣にあるように描かれていましたが、実際には四条烏丸に近いあたりでした。

 ドラマでは、このパン屋で上町葉菜(趣里=水谷豊、伊藤蘭の娘)がパン職人の修業をしていました。ちょっと頼りないがすご腕のパン職人 玉井利夫(甲本雅裕)がいい味、出してました。

 Boulangerie MASH Kyoto まっしゅ京都
 075-352-0478
 京都市下京区東洞院通高辻下る燈籠町568

 このブログに登場した「京都人の密かな愉しみ

京都人の密かな愉しみ その2 ロケ地を巡る 西陣あたり

 「京都人の密かな愉しみ」(NHKBS)で何度も登場した老舗和菓子屋、久楽屋(くらや)です。目に焼き付いたシーンでした。
 室町上立売を上がったところにある和菓子屋、俵屋吉富の本店が暖簾を変えて使われていました。
 日曜日とあって、残念ながらシャッターが閉まってました。店内の様子はわかりませんでしたが、こぢんまりとしたたたずまいでした。

 隣は郵便局。赤いポストが映っているいるシーンです。
 久楽屋の若女将、沢藤三八子が15年ぶりに再会した菓子職人とパリに旅立つ最終回のシーンです。
 和服から洋装に着替えた常盤貴子が輝いてました。

 托鉢の僧(実は腹違いの弟)にお布施する三八子が歩いてきそうです。

 「さいなら」がエンディングでした。

 烏丸今出川から歩きました。同志社大学のクラーク館です。奥さまの案内です。
 ここで団時朗が洛志社大学の教授、エドワード・ヒースローとして教鞭をとるシーンに出てきます。

 臨済宗相国寺派の大本山である相国寺は、京都五山第2位に列せられる名刹です。

 相国寺塔頭の瑞春院は、水上勉の「雁の寺」で知られます。
 番組に挿入されているオムニバスドラマ「桐タンスの恋文」に登場します。 

 俵屋吉富の本店、茶ろんたわらやと歩いてきたところは寺之内小川通りです。北に上ります。

 不審庵(茶堂表千家)の立派な門です。

 お隣は今日庵(茶道裏千家)です。

 裏千家の前が本法寺です。

 この夜桜の下で三八子は「京を捨てる」と未練を断ち切る菓子職人と別れ、15年後に再会します。

 三上家路地です。路地は「ろーじ」と発音する袋小路です。
 続編の「BLUE修業中」で、パン職人を目指す上町葉菜(趣里)が、その日、売れ残ったパンを近所のお年寄りに配りに行くシーンに出てきます。

 本隆寺の瓦土塀が続きます。

 雨宝院から眺める瓦土塀です。

 三八子が通りがかり、エドワードに会釈する印象的なシーンです。

 エドワード教授が参拝するシーンもあります。
 花弁がかわったつばきがきれいでした。

 「京都人の密かな愉しみ」のロケ地の一部を巡りました。わが家の墓地がある宇治の興聖寺も何度も登場します。
 家に帰ると、ネットで予約した本が届いていました。「京都人の密かな愉しみ」(NHK「京都人の密かな愉しみ」制作班+源孝志監修、宝島社)です。ペラペラと繰っていくと、行きたいロケ地があちこちにあります。
 * ブログ中の常盤貴子の画像は、この本からコピーしました