半世紀も昔となったわたしが学生だったころの話です。それまでのアマチュア無線からオーディオにも興味をもつようになりました。
初めて作った真空管式のプリ(コントロール)アンプは、英国製のQUAD(クォード)22の回路をコピーしたものでした。オーディオ雑誌に製作記事が掲載されていました。残念ながら使用のレベルまで完成させることができなかった、いわば「初恋」のアンプでした。
ホンモノなんて高嶺の花。大阪・日本橋の電気店街で拝んだような記憶はあります。
それが今、わたしの机の上にあります。ヤフオク(ヤフー・オークション)で破格の低価格で落札したのです。
プレートにはACOUSTICAL MFG社製と書かれています。英国・ケンブリッジ近くのハンティングドンにある、1936年創業のオーディオメーカーです。
QUADⅡというメーン(パワー)アンプとセットするコントロールアンプとしてQUAD22は1957年に誕生しています。
シリアル(製造番号)は2万9000台ですが、それでも製造から60年ほどは経過しているのでしょう。
真空管式のラジオやテレビなんて、もう家庭で見かけることはありません。そんな時代の製品をありがたがっているのです。
音量調節のためのツマミが欠品となっています。それでヤフオクの競争相手が少なかったのでしょう。
さて、どうしたものか? 大きな課題です。
ケースをはずしてみました。ホコリはそれほどありませんでした。
比較的小さなケースにきっちりと組み込まれています。ケーブルやパーツの足が直角に曲げられるなど、びっくりするほどの几帳面さです。これが英国人気質だったのでしょうか。
上面もすっきりとしています。
真空管を抜いてみました。オリジナルのものがささっているようです。
左2本のEF86は英ムラード製です。右のECC83(12AX7)はMAZDAとあり、なんとポーランド製です。初めて見たブランドの球です。
ブロックコンデンサ―など各所にMade in Englandの文字があります。
プッシュスイッチの動きが鈍いので、分解修理のためにパネルを取り外しました。
肝心の動作ですが、このプリアンプには電源がついていません。その製作から始める必要があります。
ネットから拾ってきたきれいなQUAD22の画像です。ここまで修復するのは無理とわかっていますが、しばらくはこれで遊びます。