『喜撰が庵のありしあと』を訪ねるのが、貝原益軒の記す京都ガイド「京城勝覧」の5日目です。
この日は、『宇治にゆく道』として藤ノ森から六地蔵、黄檗山、御室戸寺(三室戸寺)と歩みますが、そこから20町(約2km)ほど行くと、喜撰法師が庵を結んだ跡があると書かれています。
今も喜撰山の山腹に「喜撰洞」として残っていました。
でも江戸時代のトラベラーが、こんなところまで訪れたとはにわかに信じがたい場所でした。
六歌仙のひとり、喜撰法師は小倉百人一首のこの歌で覚えてました。
この「うぢ山」が、喜撰山のことでした。
宇治川を堰き止める天ケ瀬ダム近くからひと回りしました。
おいしそうなバケットです。
クルマでやってきたので、久しぶりに途中の「たま木亭」に寄って、昼飯と家で食べるパンを買いました。
休日の昼間は大混雑ですが、きょうは空いてました。
たま木亭
0774-38-1801
宇治市五ケ庄平野57-14
【2021/09/24 10:01】
宇治川右岸の天ケ瀬ダム下流にある駐車スペースに止めさせてもらいました。
つり橋の天ケ瀬橋がかかっています。
橋の中央から上流を眺めました。
白虹橋(はっこうばし)を左折して志津川に向けて進み、すぐの林道を右折します。
きょうは一日、ほとんどを林道を歩いていることになりました。
宇治廃棄物処理公社のゲートでVターンします。
何かの実がついています
鳳凰湖展望台です。天ケ瀬ダムのダム湖にそんな名前がついていたのですね。
天ケ瀬ダムがたっぷりと水を蓄えています。
きれいに整備された天ケ瀬森林公園のエリアに入ります。
いっぱいの緑が陽を遮ってくれます。
湖眺の丘の展望台です。そのネーミングにひかれて大回りしてきましたが、雑木が生い茂ってダム湖は見えませんでした。
大屋根休憩所は、びっくりするほど大きな屋根で覆われた施設です。隣のトイレも立派でした。
ここから山道の急坂となります。
【11:27】
スタートから1時間半ほどもかかって槇尾山展望台まで登ってきました。
宇治から八幡・男山、わが島本町あたりまでがきれいに見渡せました。
そのまま進むと、ロープで渡らせて通行止めです。
天ケ瀬森林公園の整備エリアからは外れるという注意のようでした。
林道に出ました。
左から歩いてきて、Vターンしました。
【11:58】
林道をタラタラと歩いてくると、ゲートに出くわしました。左側をすり抜けらることができました。
林道には仙郷山2号線という名前がついていました。
右手は関西電力喜撰山発電所(揚水発電所)のゲートで、立入禁止です。
左手の階段が、喜撰山へのルートです。
山歩きらしい雰囲気となりました。踏み跡はしっかりとしています。
山火事があったのか、黒焦げた雑木が転がっています。
喜撰山山頂直下に、喜撰洞への分岐がありました。そのまま進みました。
【12:25】
分岐のすぐ先が、喜撰山の山頂でした。眺望はありません。
ミニ三脚を使って自撮りしていると、6、7人の若者のグループがやって来ました。昼飯を食べるタイミングを失ってそのまま喜撰洞へと進みました。
これであっているのだろうかと不安になる急坂を下りました。
勾配が緩やかになった辺りに、山腹を巻いていくルートの案内がありました。
細い道の先に、大きな岩が現れました。
洞の内部におられるのは喜撰法師でしょうか。一体の石仏が祀られていました。
「京城勝覧」(国立国会図書館デジタルコレクション)では、宇治山(喜撰山)と庵の跡が別の山のように描かれています。益軒は、本当にやって来たのでしょう。
目の前には、はるか西方の視界が開けています。
それにしてもわずかなスペースです。こんなところに庵があったというのも疑問です。
そのまま下ると、喜撰山からまっすぐに下ってくるルートと合流しました。
喜撰山ダム湖が広がります。
【12:59】
ダム湖岸まで下ってきました。
広々とした山上の人工湖です。
YAMAPのコースルートは、反対側の峰を通っています。
わたしは、そのまま林道を下りました。
志津川の集落を抜けます。
秋ですね。柿がたわわです。
自動販売機を見つけ、冷たいコーヒーをゲットしました。
食べ損ねていたたま木亭のカレーパンを頬張りました。うまかったです。
ザックの重しと化していた水を捨てました。バーナーも持ってましたが、熱いコーヒーにはまだ早かったようです。
【14:01】
白虹橋の手前を左に進みました。
志津川発電所のレンガ造りの発電所棟が残っています。大正13(1924)年から発電していましたが。天ケ瀬ダムの完成で廃止されました。
建屋の左側まで行ってみました。
この辺りから宇治の「おとぎ電車」が出発していたはずです。こども時代に乗ったことがあります。「宇治川ライン」に「プロペラ船」と懐かしいです。
「京城勝覧」では喜撰山の後、興聖寺、朝日山、平等院と続き、巨椋池の太閤堤を京へと戻ります。