アルプスの画家、セガンティーニに会いに行く

【8月23日=サン・モリッツ】

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 St.Moritz/サン・モリッツに着いた夕、さっそく向かいました。Giovanni Segantini/ジョバンニ・デガンティーニ(1858-1899)の作品を展示するセガンティーニ美術館です。今回の旅のひとつの目的でした。

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 「天下御免」のスイス・パス(ほとんどの美術館は無料になる)も無効。「個人美術館ですから!」というわけで、1人CHF(スイス・フラン)10=約900円を支払いました。

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 この絵は、ゆったりとさせられて一番好きな「湖を渡るアヴェ・マリア」(購入した絵はがきから)です。 

 3階の丸いドームに、運命の3部作、「生 Das Leben」「自然 Die Natur」「死 Der Tod」が掲げられていました。妻の他には誰もいないベンチに腰掛けて、セガンティーニと対面しました。
 Dunkel ist das Leben,ist der Tod (生も暗く、死もまた暗し)。マーラーの交響曲「大地の歌」の最後の消え入る一節が、駆けめぐりました。
 人生の厳しさが伝わります。

 セガンティーニはイタリア生まれですが、スイスの山村で一生を送りました。この暗さが、スイスなのでしょうか。資源に恵まれない荒れ地を、ひたすら牧草地にかえていった人々のエネルギーも伝わります。
 
 「帰り道で、農夫とその娘に会った。今日はと挨拶すると、いかにも迷惑そうな顔でそれに応ずる親娘の表情もまた日本の山村とよく似ていた。私はすれ違ったてからうしろをふりむいた。きっと、この親娘の表情もうしろをふり向くだろうと思ったからである。しかし親娘はわれわれには無関心で、ゆっくりゆっくり山道を登っていった。ふたりが曲がり角にさしかかると、担いでいた鎌がぴかっと光った。」(新田次郎 「アルプスの谷 アルプスの村」 新潮文庫)

 セガンティーニの人物も、みんなうつむいていました。例外といえば「アルプスの真昼」くらいでしょうか。ちょっと構図がちがう同名の「アルプスの真昼」は、倉敷の大原美術館に収蔵されています。

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 サン・モリッツの中心街からサン・モリッツ湖に沿ってあるきました。やがて「セガンティーニ小道」の道標です。

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 散策路を歩くと、日本のナナカマドと同じような木が真っ赤な実をつけてました。

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 セガンティーニ美術館は、はるかなシャーフベルクの山小屋を向いています。セガンティーニはそこで「自然」を描きながら息を引き取ったのです。

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