京の三十三食 七番 室町 前田珈琲明倫店の名物ナポリタン

 きょうの京都は最高気温が37.7度と、とんでもない暑さでした。できるだけ歩かないですむところと、阪急烏丸から遠くない前田珈琲明倫店で昼飯としました。
 選んだのは「言わずとしれた前田の定番」とメニューにも書かれている「名物ナポリタン」(980円)です。
 鉄板に載っていないのがちょっと残念ですが、昭和の味の喫茶店のナポリタンです。トロリと濃厚な安心のケチャップ味です。
 具材は、ハムにタマネギ、マッシュルーム、ピーマンとまるで教科書通りです。スプーンもついてきましたが、フォークだけでいただきました。

 タバスコを振るかけると、さらにパワーアップします。

 口直しにはお決まりの「レーコー」、いや「アイスコーヒー」(+200円)です。

 旧明倫小学校の教室が、そのまま店になっています。

 壁にかかった額のロゴは、コースターにもプリントされています。
 中国の現代美術作家、徐冰(シュ・ビン)氏によってデザインされた、ありそうでない漢字です。MAEDAと書かれています。

 昭和46(1971)年の創業以来の味だそうです。
 わたしが大学生活を送っていた時代です。喫茶店で初めて食べたスパゲッティとは、こんなものだったのです。

 教室の一つがそのまま店になっています。

 店名はなく、教室表示だけです。ここには1年2組とか書かれていたのでしょう。

 前田珈琲明倫店
 075-221-2224
 京都市中京区室町通蛸薬師下ル山伏山町546-2 京都芸術センター内1F

 明倫校はこの夏、トマトやキュウリをたくさんいただいたYさんの母校です。「懐かしい!」と叫んでくれそうな風景は、さらに続きます。

 「明倫」と額の字も鮮やかな玄関です。
 明治2(1869)年に下京三番組小学校として開校した明倫小学校は、平成5(1993)年に124年の歴史をもって閉校しました。校舎は昭和6(1931)年に大改築されてそのまま残っています。現在は京都芸術センターとして整備、活用されています。

 「走ったらダメ!」と、センセーの注意声が聞こえそうな廊下です。

 さりげなく置かれたオルガンです。

 「鉄管ビール」と称して、頬を蛇口に近づけて流れる水を飲んだものです。

 窓の外には運動場です。

 階段の明かりとり窓も素敵なデザインです。

 北校舎は、階段ではなくスロープになっています。当時から障がい者のことも考えていたのでしょう。

 どちらをむいても絵になります。

 広い講堂です。

 現在は、ビルに囲まれています。

 ひと回りして玄関を出ました。

 クリーム色の外壁と、スぺイン風屋根瓦のオレンジ色、雨樋の緑青色が温かみのある雰囲気を醸し出しています。

 お定まりのこの方も、マスク姿で読書中です。

 京都市芸術センターは、ジャンルを問わない芸術家の制作活動の支援、芸術文化に関する情報の収集と発信、芸術家と市民との交流の促進を目的に、2000年に開設されました。

 かつては呉服問屋などが軒を並べていた室町通りの一角にあります。