東京出張の新幹線で考えました。昼飯はどこで食べようかと。
タブレット端末のNEXUS7を取り出し、ネットで調べます。N700系新幹線では、無線LANでネット接続できます。検索用語は、「そば+神田+池波正太郎」。ヒットしたのは「池波正太郎が愛した神田の老舗」でした。
この冬に焼失した「かんだやぶそば」は何回か行ったことがありましたが、「神田まつや」は初めてです。
東京も暑い一日でした。さすがに多くの客が冷たい「もり」を食べてます。それでもわたしは、事前に調べていた通り「店主のお薦めメニュー」から「かけそば」(600円)にしました。左下に真っ白に写っている(写っていない?)のが薬味のネギです。あちらのネギは、真っ白です。七味を振って、シンプルの極みです。
旨い。ツルリと喉を流れる細めのそばです。出汁も色ほどにのことはなく、そばの引きって役に徹してます。
もう一品は「かき揚げ天丼」(1000円)です。小ぶりのエビ天4本とコロリとしたイカが揚げてあります。懐かしい味がする天丼です。
汁そばなのにそば湯が出てきました。天丼には吸い物もついていたので、わたしには不要でした。周りを見ると、どんぶりにそば湯を注いでいる人も目撃しました。関西ではあまり見ない光景です。
もうひとつ驚いたこと。前の席に座った男性は、「天もり」を注文して、出てきたせいろの上の冷たいそばにこれでもかというほど七味を振ってました。後からその横に座った女性は、「もりそば」の出汁の方にたっぷりと七味を入れてました。関西では、もりやざるの出汁に入れるのはワサビですよね。メニューには「生わさび」(50円)というのもありました。あれは何でしょうか。酒のアテにするんでしょうか。それとも??
メニューは多いです。裏にもあります。池波が愛したのは、この庶民性のせいでしょう。でも、お江戸で「きつね」と「たぬき」の違いはどうなっているんでしょう。
隣の夫婦は、まずビール。それから板わさに焼き鳥とうらやましい入り方でした。仕上げがそばなんでしょう。あんな食べ方がしてみたいです。
「私がよく足を運ぶ神田・須田町の蕎麦屋〔まつや〕には、この一品がメニューにあって、それがまた、うまい。うまいといえば 〔まつや〕 で出すものは何でもうまい。それでいて、蕎麦屋の本道を踏み外していない。だから私は、子供のころに連れて行かれた諸々の蕎麦屋へ来ているようなおもいがする。そのころの蕎麦屋の店構えが 〔まつや〕 には残っている。」(池波正太郎、「散歩のとき何か食べたくなって」)
ここに書かれている「この一品」は、「カレー南ばん」のようです。寒くなったら、これも食べてみたいです。
創業明治17年という風格を感じさせる店構えです。
神田まつや
03-3251-1556
東京都千代田区神田須田町1-13