ザ・シンフォニーホール ウィーン放送交響楽団の芳醇な響きに酔う

 来日中のマリン・オルソップ指揮・ウィーン放送交響楽団(RSO)と角野隼斗(ピアノ)を、大阪のザ・シンフォニーホールで聴きました。
 やや後列ながら中央の良い席でした。
 ウィーンで2度、会ったゥ゙ァイオリニストのちかちゃんが、RSOの正団員となっての「凱旋コンサート」でした。ちかちゃんにヴァイオリンを手ほどきした恩師、ピアノ伴奏したことがあるわたしの奥さま、ウィーンで食事をともにしたわたしまでもが招かれました。
 早くからチケット完売の人気コンサートでした。

 ベートーベンの交響曲第7番は、躍動感にあふれた劇的な響きのシンフォニーです。RSOは、弦と菅楽器が見事なまでに調和した明るくて細やかなハーモニーを奏でました。ワクワクするほどに惹きつけられる素晴らしい演奏でした。ホンモノのウィーンのオーケストラのふくよかな音に包み込まれることができました。
 第2ヴァイオリンの小柄なちかちゃんは、手前の大柄な男性ヴァイオリニストの陰に隠れてしまうほどでした。そんな中で正団員となったちかちゃんのファイトに触れることができました。
 アンコールの1曲は「シャンパンポルカ」でした。陽気なポルカにあわせて、シャンパンのボトルを空けるような音が空気鉄砲(?)からポン、ポンと心地よく発せられました。ノリノリの演奏でした。終わると大拍手。思わず立ち上がってのスタンディング・オーベーションとなりました。

 楽団員が下がったあともフルーティストらが戻ってきてポン、ポンをおまけしてくれました。2階バルコニーに向かって、白い弾が飛んでいきました。
 思わず「楽しかったね」と声をあげるコンサートでした。

 若い女性が目立ちました。お目当てはピアノのCateenこと角野くんであることは明らかでした。
 アンコールのイタリア協奏曲はジャズの「PLAY BACH」さながらのノリでした。ものすいごい指の回転で、かのジャック・ルーシェよりもスピードでは勝っていたでしょう。ただただあっけに取られました。

 パンフレットは2種類あり、Cateenが大きくデザインされている方が人気のようでした。
 女性指揮者のオルソップは、端正な指揮とチャーミングな所作で魅了しました。

 「大入御朱印」なるものが売り出されていました。

 ホールを出ようとしたとき、紙袋を手渡されました。公演のスポンサーだったのかヒガシマル醤油のうどんスープなど4箱詰め合わせでした。コンサートでこんなおみやげって、たぶん初めてでした。
 うどんスープは1箱8食入り。それが4箱もあり、全部で32食分。毎日うどんでも1カ月かかります。

 ザ・シンフォニーホールは久しぶりでした。よく響く素晴らしいホールだと改めて実感しました。
 1982年に開館したとき、報道陣へのプレビュー取材で「残響時間 2秒」を体感したことを思い出しました。