エミール・ガレの代表作「ひとよ茸け」です。
諏訪湖畔にある北澤美術館。照明を落とした最初の展示室で、ゆるやかな光を発してました。
高さ50センチほどのガラスのランプです。光源は電気です。仏・ナンシーのガレの工場に電気が引かれ、この作品が生まれました。
一夜で枯れてしまうというキノコを模しています。それにしても温かい光です。
「GALLE」。そのサインが彫り込まれています。
パンフレットと入場券(1000円)です。いずれも「ひとよ茸け」が使われています。
「ストロボを使わなかったらカメラ撮影もいいですよ」というはなはだ鷹揚な美術館です。わたしも撮影しましたが、周りの光線が映り込んで、プロがカタログ用に撮影したもののようには写せませんでした。当然です。
「アブチロン文ランプ」。これも心を和らげる明かりです。
「フランス東部の古都ナンシーで生まれたガレは、ガラス・陶器。家具の製造販売を手がけ、企業経営、技術開発、製品デザインの監修に辣腕を振るいました。芸術と産業の融合を理想にかかげ重厚な作品を多数遺しました」(パンフレットより)
1867年のパリ万博には、日本の工芸品や浮世絵などの美術品が出品され、ヨーロッパにジャポニスムの波が押し寄せました。その影響から、伊万里の絵付けを模した作品も作られました。
ボランティアのガイド(無料)がついてくれて、丁寧に作品を説明してくれました。
「リキュールセット」。こんなのでグイーッとやれば、酔いも違うでしょう。
アール・ヌーボー。19世紀末にヨーロッパで花開いた新しい 装飾美術の傾向だそうです。
「ザルツブルク音楽祭」を聞きに行った途中のウィーンでは、オットー・ワーグナーの建築物や、グスタフ・クリムト、エゴン・シーレにはベルヴェデーレ宮殿のオーストリア美術館で出会いました。「プラハの春」のプラハには、アルフォンス・ミュシャのムハ美術館がありました。
「サイトウ・キネン・フェスティバル」のためにやってきた信州では、エミール・ガレでした。音楽と美術がつながり、さらに印象が深くなります。
北澤美術館はバブルメーカーの「キッツ」の創業者の遺志を継いだ美術館です。おなじ諏訪湖畔に「新館」、清里には、ガレとほぼ同じ時代に活躍したドーム兄弟の作品を中心に展示する清里北澤美術館があります。
【追加画像】
「イリさん」ご指摘の片倉館です。北澤美術館の並びの諏訪湖畔にあります。煙突の直線に、斜めの屋根が美しいです。
「片倉館」は、昭和3年に、諏訪地方の製糸業で財をなした片倉家が、地元福祉のためにつくった「千人風呂」です。
残念ながら、その湯につかる時間はありませんでした。
諏訪にも寄られたんですね。この美術館が開館して間もなくのころに訪れたことがあります。それ以来行っていませんが、懐かしいです。信州には美術館があちこちにありますね。穂高には碌山美術館がありますし、松川にはちひろ美術館があります。いずれも松本のすぐ北ですし、車山に泊まられたのでしたら、蓼科にローランサン美術館があります。この秋に八ヶ岳方面に行きますので、清里の北沢美術館に寄れたらいいなと思いました。
諏訪といえば片倉館という温泉がありますね。レトロな建物と雰囲気で、お湯の底には砂利が敷いてあるユニークな温泉です。