インスブルックからOeBB(オーストリア国鉄)の各停で東へ半時間ほど。イェンバッハという駅の隣のホームからアッヘンゼーバーン(アッヘンゼー鉄道)は走り始めます。アルプス山中の澄んだ湖へ、蒸気機関車で向かいます。
アッヘンゼー(アッヘン湖)まで7キロほどの区間に、19世紀末に製造された蒸気機関車が走っています。急こう配を登るラックレール式の蒸気機関車で定期運行されているものとしては世界最古だそうです。
130年も前に製造されたとは思えない蒸気機関車です。胴体のタンクが傾いているのは、急こう配でもタンクを水平に保つための工夫です。
急こう配を登るため、蒸気機関車は後部から押します。連結器が外れて、客車だけが坂を下ってしまうアクシデントがないようにしています。
汽笛一声、列車がスタートしました。おじいちゃんの車掌は、客車のステップを伝って検札に回ってきます。
シュッシュ、ポッポと白い煙を噴き上げ進みます。
ポッポの音は入ってませんが、蒸気機関車の頑張りが伝わります。
最頂部の途中駅で、蒸気機関車は待避線を通って前に回り込みます。
アッヘンゼーが近づくと、上空にはパラグライダーが舞ってました。
55分かかって湖岸駅のゼーシュピッツに到着です。
ここから遊覧船で湖岸の美しい村、ペルティサウに渡りました。そちらは、改めてー。
帰りの列車です。
シルエットが素敵です。
途中駅で上りとすれ違い。車掌が飛び降りて走り、ポイントを切り替えてます。それで間に合う、のんびりとした列車です。
すれ違う両列車の乗務員が、とりあえずご挨拶。信号がない単線運転でも、これで正面衝突はありえないということですか。
イェンバッハに戻ってきました。勤務を終えた蒸気機関車は乗客より先に客車を離れ、引き込み線から車庫に戻っていきました。
乗車券は懐かしい硬券です。日付がエンボスされ、検札で穴も開きました。
案内板にはびっくりの日本語です。
「鉄」をいっぱいに吸い込んだ、楽しい一日でした。