きみの行く道は 果てしなく遠い/だのに なぜ 歯をくいしばり/君は行くのか/そんなにしてまで・・・空にまた 日が昇るとき/若者はまた 歩き始める
フジテレビ制作のテレビドラマ「若者たち」の同名の主題歌です。放映された1966年は、わたしは高校生でした。50年以上も前のことです。簡単な歌詞ですから、3番まで覚えていました。
深い意味もありませんでした。とっくに若者でもなかったでのすが、ただ言葉の端々がカミーノを歩くわたしの姿と重なったからでしょう。声には出しませんでしたが、何度も何度も口ずさみながら歩きました。
前夜にネットで調べた天気予報で、レオン地方は午後から雨ということは知ってました。まだ昼前でしたが、進行方向の西の空がにわかに暗くなってきました。これは、来るぞ! と直観して、ちょうど通りかかったレリエゴスのアルベルゲに飛び込みました。右足も痛かったからです。しばらくすると通り雨のような強い雨が降ってきました。観天望気(かんてんぼうき=自然現象や生物の動きなどから変化する天気を予測すること)とまではいいませんが、早めの判断が雨を避けさせてくれました。
翌日に出会った日本人ペルグリーノは、「あわててザックの雨具を引きずり出しました。初めての経験で、いやたいへんでした」と話してました。
1か月以上旅するカミーノでは、そのうちのいく日かは雨に降られる覚悟が必要です。ところが、わたしは最後まで本降りの雨に出会うことはありませんでした。半透過性の繊維でできている雨具の上着は、後半は寒さ対策で毎日、着ていました。霧雨にフードをかぶったことはあります。でも、オーバーズボンは最後まで使うことはありませんでした。
何もすることがないアルベルゲで窓の外の雨をぼんやりと眺めていると、思わぬフレーズが蘇ってきました
The rain in Spain stays mainly in the plain!
まさにこの光景の中にいるのでした。
映画「マイ・フェアレディ」で、ヒロインのイライザ(オードリー・ヘプバーン)が上流階級の使う英語特訓で韻を踏むために、ロウソクを前に歌うシーンです。
学生時代に、原文のペーパーバックを読ん覚えがあります。身近なことをあれこれと考える必要がなくなると、頭の中が一気に50年前に遡ったりもするのです。