my camino=intro リタイアしたら サンティアゴ巡礼

 スペインの北西部・ガリシア州にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラという街に3本の尖塔が美しい大聖堂がそびえています。ここはキリスト十二弟子のひとり、聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺骸が発見されたことから、エルサレム、ローマと並ぶキリスト教の3大聖地とされてきました。中世から、この聖地に向けてヨーロッパの各地に住むキリスト教徒が巡礼するようになりました。あちこちに巡礼路ができました。そのひとつが、フランス南東部のピレネー山脈の麓の村、サンジャン・ピエ・デ・ポーからスペインの大地を西へ西へと横切って780キロほどに及ぶ「フランス人の道」です。現代の巡礼で歩く人が最も多いのが、この巡礼路です。
 わたしは、会社員生活にピリオドを打って「リタイアード」という肩書を獲得した2016年、67歳にしてこの巡礼路を1カ月以上かけて歩きました。その2年前には、コンポステーラ(巡礼証明書)がいただける最小限の100キロ超のサリアから歩いてました。まだフルタイムで働いていた身には、10日ほどの休暇をとるのが精一杯でした。時間の制約に縛られてどこか満足しきれなかった最初の巡礼のリベンジでもありました。
 来る日も来る日もただ歩き、おいしいものを食べ、ビールやワインを飲む。あとは考えることはありません。邪魔をする人もいません。自分だけの時間を、贅沢に、思う存分に過ごしました。
 巡礼路では、多くの日本人とも会いました。多かったのが学生さん、それとわたしと同年配のリタイアした人たちでした。
 800キロにも達する徒歩の旅。すべての荷物をわが肩に背負ってのバックパッカー生活でした。日本語が通じないスペインです。何を食べて、どこで眠ればいいのか? から始まってほかにもあれやこれや。ハードルは高そうに感じていました。でも一歩を踏み出してしまえば、こんな時間の使い方があったのかと、それまでのわが身を鑑みても感慨深いものでした。そして、病みつきにななってしまいました。同じ巡礼路を同じ時期に歩いたS(67)さんは今、「北の道」という海岸線を通る巡礼路を歩いておられます。うらやましい限りです。
 サブタイトルとしている ¡¡ paso a paso !! は、スペイン語で「一歩一歩」という意味です。わたしも、次の一歩を踏み出せたらと考えています。
 2回の巡礼の写真を中心とした記録は、わたしのブログ『「どたぐつ」をはいて・・・』に残っています。もう一度、旅立ちたいという思い込めて、2016年巡礼の記録に文章も書き加えて新たなブログ「リタイアしたら サンチアゴ巡礼 ¡¡paso a paso!!」として再構成しました。     (巡礼から2年が過ぎた2018年秋 記す)