QUAD22邂逅(9) 化粧直しで見栄えを回復

 

古い英国製のプリアンプ、QUAD22の修復は最終コーナーに達しました。
 機能や音質はともかく、最大の課題が前面パネルの欠損しているボリューム・ツマミでした。なにせお顔の中心です。ここが決まらなくてはー。

 適当なツマミをネットで探しました。これならという製品もありましたが、3000円以上もしました。アルミ無垢の削り出しとはいえ、ちょっと手が出ません。
 ハードオフのジャンク売り場で、これなら使えそうというツマミがついた壊れたDVDアンプを見つけました。1000円でした。ツマミだけ取って、本体は大型ごみの日に処分しました。

 プラモデルのラッカー塗料の茶色と白、黒を購入しました。3色を混ぜました。

 むかし、ナローゲージの鉄道模型を作っていた時に使ったスプレーガンが健在でした。
 配合したラッカー塗料を、銀色のツマミに吹き付けました。塗り上がったのが、最初の画像です。もう少し暗い色でもよかったですが、これでひとまずはOKとしました。

 音質を大きく左右する結合コンデンサーです。
 修復直後に新品に代えました。でも待て、オリジナルではダメだったのかと、取り外した同容量の4本のうち、測定結果がまあまあだった2本を戻しました。
 コンデンサー1個で、一気にオリジナルの音に戻った気がしました。でもLPを聴き込むと、高音は素晴らしいですが、中高音が薄っぺらでした。ダメだ!

 ネットで評価の高かった新品を購入しました。
 弦が「オオ、素晴らしい!」のもつかの間、ピアノの音はバシャバシャしていました。

 手持ちのコンデンサーと交換すると、ほぼ及第点が見つかりました。上の双信製のポリカーボネート複合フィルム・コンデンサーです。

 パネルに電源ONを表示するパイロットランプがついているのに気づきました。調べると豆球が断線していました。
 懐中電灯(画像後部の赤い物体)の球で代用できないかと調べましたが、電圧が一致しませんでした。
 家電量販店で購入しようとすると、「もうLEDしかありません」。ということは懐中電灯は、球が切れたらお終いです。まあ、蛍光灯すら製造中止になる時代です。

 ありあわせのLEDランプをつけました。ちょっと光量不足のようでした。

 パイロットランプにはQUADの文字が明るく光るはずでした。
 「薄紅」をひいた風情も、これでよしといたします。

「教皇選挙」の白い煙まで

 アカデミー脚色賞を受賞した話題の映画「教皇選挙 CONCLAVE」を、枚方のTOHOシネマズ くずはモールで観ました。
 ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の外界から遮断された空間。ワンフレーズですが門外不出だった秘曲「ミゼレーレ」も流れます。そこで繰り広げられる次期ローマ法王(教皇)を決める選挙を描いています。
 枢機卿という最高職の聖職者の集まりではあります。でもそこには保守対革新、人間の欲、過去、陰謀、その他のあらゆる要素が入り乱れて、何度も「黒い煙」が立ち上ります。
 ストーリーの早い展開に、息もつかせぬ2時間でした。そして、想像だにしなかった結末が待ち受けていました。事前知識は何もなく見た映画でしたが、コンクラーベの仕組みから「白い煙」の正体まで、充分に楽しみました。

 海外旅行でもどこでも、大きな顔をして「over sixty」と言えるようになったきっかけは、映画のシニア割だったかもしれません。

生搾りオレンジジュース自販機 スーモ・デ・ナランハを思い出す 

 車で5分ほどのホームセンター、コーナン高槻上牧店でラワン合板を買い、指定のサイズにカットしてもらいました。その後、作業室を借りてジグソー(自由ノコギリ)で切り欠きを作りました。ちょっとした作業ですが汗ばみました。
 ベンダーが並ぶコーナーに生搾りオレンジジュース自販機があるのは知ってました。喉も乾いていたので、モノは試しと350円を投資してみました。

 コインを投入すると、内部でオレンジが動いているのが見えました。ジュース(270ml)1杯で丸ごと4個を使用しているそうです。

 45秒待つと窓が開いて、ラップで蓋をした紙コップが現れました。

 中を見ようと、ラップをはがしました。オレンジの皮などの固形物もそれらしく残っています。
 お味は、甘いです。ただし砂糖は不使用という説明には納得できる自然な甘さです。確かに搾りたてのオレンジそのままなのでしょう。おいしく飲み干しました。

 IJOZE(アイジュース)は、シンガポール発の企業のようです。

 ネットで調べる限りでは、まだそれほど多くはないようです。
 それにしても新鮮なオレンジの補給がどのようにしておこなわれているのかが不思議です。

 わたしの主食はオレンジジュース??
 オレンジジュース搾り器あれこれ

 スペインのサンティアゴ巡礼では、巡礼路沿いのバルで飲むスーモ・デ・ナランハが最高でした。もう一度、飲みに行きたい懐かしいお味です。

 

QUAD22邂逅(8) 憧れの美人にはまだ遠く

 英国製の古いコントロールアンプ、QUAD22の修復は終盤を向かえいます。
 最後の調整では、イコライザー回路に20pf(ピコ・ファラッド)の小さなコンデンサーを追加するだけで、高音の伸びがガラリと変化するうれしいハプニングもありました。電気回路の整備はほぼ終了しました。
 残るは見た目です。ケースに戻しました。

 欠品となって手に入れたボリューム・ツマミをどうするかが残された課題です。ありあわせの銀色のツマミと取り付けています。ここが決まらなくては、若い日に憧れた美人にはちょっと遠いです。

 鉄製のケースは、一部に錆がでたのか、塗装が盛り上がっていました。荒れた肌は、電動サンダーにワイヤーブラシをセットして磨きました。

 サンドペーパーで仕上げました。

 シンナーで油分を除き、サーフェーサーという下地塗料を吹き付けました。
 仕上げにシルバーのラッカースプレーを吹き付けました。

 ラッカースプレーは、百均のダイソーで買ってきました。220円でした。これまでは110円だったのですがね。
 内容量が100mlから160mlには増えて、缶がひと回り大きくはなってます。でも使う量はわずかなので、なんだか値上がりした気分です。これも時勢ですかね。 

 オリジナルよりは派手な仕上がりとなりました。

 

奈良県橿原文化会館 反田恭平&JNOコンサートツアー2025

 奈良・橿原の近鉄・大和八木近くにある橿原文化会館で「反田恭平&ジャパン・ナショナル・オーケストラ コンサートツアー2025」を聴きました。
 終演後、反田くんのサインをもらって奥さまは満足の様子です。プログラムの左下は印刷ですが、右上はインクも乾かないほどの直筆です。
 サイン会は反田くん登場とあって大混雑。長い行列ができました。それにしても終演後に、ホッとする間もなくにこやかな笑顔を絶やさずにペンを振るうのもご苦労なことです。

 モーツァルトがずらりと並んだプログラムです。
 圧巻はピアノ協奏曲26番「戴冠式」。反田くんの弾き振りも慣れてきたようで、さすがに堂々としたピアノでした。
 アンコールの弦楽ディヴェルトメントは、ジャズのインプロビゼーションさながらにヴァイオリンやヴィオラのソロが奔放に歌いました。クラシックでは珍しく曲の途中なのに拍手がわき上がりました。ティンパニは派手な連打の果てにバチを投げ出してしまうほどの熱演でした。すぐ横に座ってくつろいでいた反田くんも、びっくりの表情でした。
 締めくくりの「トロルドハウゲンの婚礼の日」は何度も聴いてます。ピアノやピアニッシモがこれまでになく美しく響きました。

 席は6列目でした。ちょっと前過ぎて、オケも直接音が勝りました。メンバーの顔もよく見えないのが残念。真正面にホルンの鈴木優ちゃんがいたのに、譜面台で遮られてお顔を拝見できませんでした。

 JRー近鉄と乗り継いで1時間半。ちょっと遠かったです。

QUAD22邂逅(7) シンプル化で電気回路は完了

 3月になって1週間というのに、極寒の日々が続きます。エアコンを効かせた部屋で熱い半田ごてを握っているのが極楽です。
 古い英国製のプリアンプ、QUAD22の改修はボチボチと進み、電気回路はほぼ完了しました。
 わたしのオーディオ装置の音の基準となっているネビル・マリナー&アカデミーのモーツァルト・ディベルティメントK136のLPが、合格点のハーモニーを響かせました。

 このQUAD22が誕生した1960年台初頭は、モノラルやステレオのLPが存在していました。入力されるカートリッジのゲインもさまざまです。それらのイコライザー特性を合わせるために、回路がユニット化されて差し替えられるよになっていました。左下の「PU」と記された丸い筒のパーツです。

 分解してみました。片チャンネルに抵抗1本、コンデンサー2本が入っています。
 測定してみると、コンデンサーの値が1割以上も少ないのが見つかりました。
 回路が、複雑なセレクタースイッチやソケットを経由して長々と引き回されていることも気になりました。

 イコライザー回路を構成する設計値に近い部品をベーク基盤に集結させました。

 リード線を回路に沿って結び、ハンダで固定しました。

 本体に取り付けて、配線しました。元々ついていたパーツは、ほとんどをスルーするようにシンプル化しました。
 そんなことならたくさんのツマミやプッシュスイッチがついたOUAD22は不要だったともいえます。でもそこは永年のブランド信仰の名残です。

 音出しに満足したわが家のオーディオ装置です。
 左上のDENONターンテーブルにLPを載せ、同じDENONのMCカートリッジ、DL-103を静かに降ろします。
 信号は隠れているMCトランスを経て右のQUAD22に入り、イコライザー回路のみを通してすぐに出力。左下のコントールアンプで音量調整して、右の300Bシングルのメーンアンプへ。最後はTANNOY ⅢLZというこれまた古い英国製スピーカーにつながります。

 隠れているMCトランスです。MCカートリッジの微弱な信号を増幅します。タムラ製のマイクトランスを流用しています。
 これがラインアップです。わたし自身へのきょう時点での備忘録でした。

 

QUAD22邂逅(6) 昔のLPに聞き惚れる

 反田恭平&ジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)コンサート2025が始まりました。わたしは来週の奈良公演のチケットを確保しています。そこで反田くんが弾き振りするモーツァルトのピアノ協奏曲を予習しました。
 YouTubeで音源を探していると、ルーマニア生まれの女性ピアニスト、クララ・ハスキルの演奏がありました。懐かしい名前でした。素晴らしい演奏でした。
 LPを持っていたはずだと探しました。出てきました。20番と24番のP協でした。QUAD22とつなげて夕食後のレコード鑑賞会となりました。

 ジャケットに「S47.10.11 ビーバー」と鉛筆で記されています。
 ビーバーというのは、京都・河原町六角の京宝会館1階にあったレコード店です。下鴨の家に帰るバス停が、その前にありました。バス待ちにのぞいていました。学生時代のそんな日に買ったのです。

 英国製プリアンプ、QUAD22の修復は続いています。
 課題は、プッシュスイッチを使ったセレクターです。6つも並んでいます。1つのスイッチに12個もの接点があります。6×12=72。これらすべてが正確にON-OFFを切り替える必要があります。

 根気よく、接点を無水アルコールで清掃して汚れを取り除きました。それにも限界があります。
 スイッチをちょっと動かすと、つながったり、切れたり。その繰り返しで動作が安定しませんでした。

 スイッチ回路は、まるで迷路です。
 カラーペンで結線を追い、ホワイトマーカーで余分は線を消して。毎夜のごとく「ボケ防止!」と自らに言い聞かせて回路図とにらめっこしました。
 

 真空管ソケットも古くて、接触不良が疑われました。タイト製の新しいものと取り替えました。

 オリジナルのムラード製真空管、EF86の1本のフィラメントが断線していることもわかりました。ショックでした。

 あれこれと課題山積ですが、とりあえすはハスキルの素晴らしいモーツァルトを奏でてくれました。

QUAD22邂逅(5) たったの抵抗1本で

 モーツァルトのディヴェルトメントK.136のヴァイオリンがきれいに響きました。
 古い英国製のプリアンプ、QUAD22を同じ英国製のスピーカー、TANNOY3LZにつないで聴きました。きれいな音が出てほっとする瞬間でした。そして「初恋の君」に聴き惚れました。
 前回の試しの音出しでは、チューナー(ネットラジオ)の音は出ていました。ところがLPを聞くためのフォノ入力は、片チャンネルしか音が出ませんでした。やはい古い真空管が死んでるのだろうかと気をもみながらも、あれこれと調べました。

 この抵抗1本の劣化でした。

 規定値は1.5MΩです。取り外してテスターで測ると、なんと7.72MΩもあります。これでは断線しているのに等しいくらいです。

 フォノ入力を増幅する初段管(EF86)のスクリーングリッド抵抗でした。同じ値の抵抗の持ち合わせがなかったので、適当に2本をシリーズにして仮接続しました。これだけのことで蘇生しました。

 コンデンサーのようにパッケージが割れるといった不良だとすぐにわかるのですが。

 赤い矢印が不良な抵抗でした。
 ステレオですので、この部分は左右が対称に配線されています。2つの抵抗の表示値はカラーコードが同じですが、明らかに外形が違います。誤差を表示するカラーは、金(5%)と銀(10%)です。他のパーツとも比較すると左はオリジナルではなく、後に交換されていたようです。
 なんだかここが怪しいと抵抗値を測定して異常に気付きました。 

 肝心の音です。なかなかいいんです。中低音の膨らみに欠けるようでもありますが、「こっちの方がヴァイオリンの音がしている」と、耳のよい奥さまの評です。
 寄る年波相応に潤いをなくしているようです。でも手を加えれば魅了を取り戻してくれそうな希望が見えてきました。

 

QUAD22邂逅(4) 緊張の音出し

 古い英国製のプリアンプ QUAD22の修復作業はぼちぼちと進んでいます。
 時代を経ると必ず劣化するパーツが電解コンデンサーです。どうしても直しておきたかったものを、新品と取り換えました。
 配線を確かめて、恐る恐る電源をオンにしました。しばらくして、それが長い時間に感じましたが、つないだネットラジオの音楽が鳴り響きました。
 ひとまずAUX端子の音出しは確認できました。

 取りはずした電解コンデンサーや音量調節用のボリュームです。

 古いままの状態です。

 電解コンデンサーなどを取り換えました。黄色いパーツや、右端の2個などです。

 電源平滑回路に使われているブロック・電解コンデンサー(左)は、頭の部分が膨れているようでした。
 同じパーツは手に入らないので、耐圧が同じコンデンサ3本を束ねて代用しました。容量は6倍ほどに増えています。 

 古いコンデンサーをテスターで計測しました。案の定、大丈夫なのは1回路だけで、あとの2つはとんでもない数値となりました。

 ボリュームも、古いのは回転にスムーズさが欠けていて、いかにも雑音が出そうでした。
 新しいものと取り替えました。

 セレクタースイッチの接点は真っ黒く汚れていました。綿棒に無水アルコールを浸して1ヵ所づつ清掃しました。
 作業はまだまだ続きます。

QUAD22邂逅(3) 電源の製作

 古い英国製プリアンプ、QUAD22の蘇生です。
 このアンプは、メーンアンプとセットで使用する前提で、電源はそちらから供給されます。わたしは単独で使用するので、電源が必要です。いうなれば心臓を手配する必要がありました。
 ジャンク箱を漁り、買い足したパーツを追加して人工心肺ができ上がりました。ケーブルで本体と結んでみました。電源をONにするのは、まだ先です。

 アルミケースをネット通販で購入しました。ドリル、シャーシパンチ、ハンドニブラーといった工具を使って加工しました。久しぶりの力仕事でした。

 トランスなどは古いパーツの流用です。

 おおかたの配線ができました。

 恐る恐る電源を入れました。爆発音は響かず、ヘンな煙は上がらず、臭いもしませんでした。
 テスターでB(高圧)電圧を測定すると、ほぼ予定通りの350Vとなっていました。安定化させたヒーター電圧も6.1Vと予定通りでした。
 電源はこれで完成です。いよいよ次段階は本体のテストです。