京都人の密かな愉しみ その10 鴨川沿いを歩く~3つの名水

 久しぶりに京都の町を歩きました。阪急で河原町までやって来たのは、半年ぶりです。
 とりたててアテはなく、「京都人の密かな愉しみ」(NHK-BSで2015年から17年まで不定期に5作が放送されたテレビドラマ・ドキュメンタリー番組)のロケ地を鴨川に沿って思いつくままに巡りました。
 さて、この気持ちよさそうなベンチは、どんなシーンだったでしょうか?

 京都は、盆地の下を豊かな伏流水が北から南へと流れています。ドラマでもあちこちの名水(神水)が紹介されました。
 阪急・河原町から歩き始めて、ほとんど観光客がいない朝の新京極を上ります。すぐの右手にあるのが錦天満宮です。この境内の「錦の水」が番組でも紹介されました。ただし老舗和菓子屋の若女将、沢藤三八子(常盤貴子)は登場しません。 

 「銅駝(どうだ)の水」です。夷川を河原町から東に入った銅駝会館の前にその蛇口はあります。
 名水に登録されているわけではない防火用水です。それでもおいしいと汲みに来るファンが絶えないそうです。
 番組でも、「珈琲夢譚」のマスターが自転車で水を汲みに来るシーンで登場します。

 「染井の水」は日本3名水(醒ヶ井、県井、染井)のひとつです。御所の東に接する梨木神社にあります。
 番組では洛志社大学のエドワード・ヒースロー教授(団時朗)が、「この水で割る日本のシングルモルトは最高だ」とうなります。


 錦天満宮は、名の通りに天満天神(菅原道真)をまつる神社です。
 錦の水は、錦市場を支えた豊かな水量を誇る井戸と同じ地下水です。

 錦通りの東の端にあります。石鳥居は狭い通りの両方のビルの壁に食い込んでいます。

 高瀬川を開削した角倉了以の屋敷があった「一之舟入」辺りです。伏見との間を往復した高瀬舟がもやられています。
 番組では、ヒースロー教授がこの橋の上から高瀬川を眺めるシーンで登場します。

 一之舟入は、高瀬川から分かれて西に延びる船泊です。

 歩いてきた順番では、次が銅駝の水です。
 1880年(明治13年)に創立した京都府画学校からの流れをくむ京都市立銅駝美術工芸高校に隣接しています。

 銅駝の水から東にちょっと歩くと鴨川です。土手に上がると目の下に二条大橋上流の飛び石があります。高瀬舟がつながれているイメージです。
 鴨川(高野川と合流以北は賀茂川)には、北山橋の上流から出町の高野川との合流点など何か所に飛び石があります。河床の安定を図るという主目的のために設けた横断構造物で、正式には帯工と呼ぶそうです。

 白い6弁の花が風に揺られていました。

 可憐に咲いていました。ヒガンバナ科のゼフィランサスのようです。でも自生しているのでしょうか。

 比叡山が臨めます。京都人にとっては、方位を確認する目印の山です。

 荒神橋上流の飛び石です。こちらはおなじみの亀がデザインされています。

 2つのベンチの答です。オムニバスドラマ「月夜の告白 月待ち編」に登場します。
 荒神橋の上から本上まなみ演じる古美術商の妻が見下ろします。

 その視線の先のこのベンチに座って、男性が能管(のうかん=日本の横笛のひとつ)を吹いていました。
 ふたりはその後、ここで度々会います。男と女の微妙な空気が流れますが、最後は何も起りませんでした。 

 大きな木の下で、わたしの孫のような子どもたちが運動会の練習(?)をしていました。
 正面が五山送り火の大文字です。

 荒神口の交差点です。
 現在は車3台の駐車場スペースに、かつてはジャッズ喫茶の「しあんくれーる」がありました。
 高野悦子の「二十歳の原点」や、倉橋由美子の小説に登場しました。

 御所の横にある盧山寺にやって来ました。紫式部ゆかりの寺です。
 記憶違いで、京都人~には出番がないようです。

 源氏の庭です。紫式部はこの庭を見ながら「源氏物語」を書いたのでしょうか。

 桔梗の紫がきれいです。

 望遠レンズで狙いましたが、あっちを向いています。

 「紫式部邸宅址」の朱印をいただきました。

 道を隔てた向かいが梨木神社です。名水の「染井」です。

 「おいしいですよ」と、ペットボトルに水を汲んでる方もおられました。

 萩の花がいっぱいです。

 フジバカマも咲いていると近づくと、お決まりのようにアサギマダラがいました。

 蜜を吸うのに余念がありません。

 浅葱色が混ざる翅を広げてくれるのを待ちますが、チョウチョです。止まっているときには翅を広げません。

 さて、昼飯です。出町の枡形商店街に向けて歩きました。
 「餃子の王将」の出町店の前を通りました。近く閉店するので話題になています。この店は、張り紙の通りに、皿洗いすれば食事することができる、貧乏学生の強い味方でした。

 枡形商店街は、ヒースロー教授が初めて登場するシーンで昔懐かしい商店街として描かれています。

 ガーン!! きょうの昼飯は、久しぶりンここで鯖寿司ときつねうどんのセットを食べようと決めていました。定休日とは、調査不足でした。

 河原町に回ると、「出町ふたば」はいつものように長い行列です。常盤貴子演じる沢藤三八子もここで栗餅を買います。
 奥さまのみやげに、シーズンの栗餅と、名物の豆餅を買いました。

 昼飯を「うどん ぼの」で食べて、下鴨神社を参りました。
 世界遺産のこの神社の氏子(何がしかの寄付をしていただけ)としてここの近くで育ちました。初詣は昔からここです。

 境内には縁結びで若い女性に人気の相生社があります。沢藤三八子もここで手を合わせました。

 女性は神木に向かって右回りに参るのがしきたりです。

 わたしがすぐ近くの中学校に通ったころは、静かなだけの神社でした。近年、世界遺産にも指定されて、ぐっと朱色が目立つようになりました。

 歩いた最後はこのシーンです。
 常盤貴子演じる沢藤三八子が、この橋の上で若い雲水と出会います。わけありな出会いを、木々の隙間からヒースロー教授が垣間見ていたはずです。

 出町ふたばで買ってきた栗餅をいただきました。

 丹波栗が入っています。アンは淡白で、おいしくいただきました。

 四条河原町から歩き始めました。新京極蛸薬師辺りでスマホアプリをオンにしました。実際の歩行距離は、もう少し多いです。

 これまでの「京都人の密かな愉しみ