京の三十三食 二十九番 祇園 キエフのAランチ

 四条大橋近くのビルにある「キエフ」は、もう一度、訪れたかったロシア料理のレストランです。昔は、ロシアとキエフという固有名詞は何の違和感もなくつながっていましたが、今は微妙です。
 それはさておき、いただいたのは一番簡単な「Aランチ」(1440円)です。
 まずスープのボルシチが出てきました。ウクライナ風スープとの説明があります。ビーツで赤く染まったキャベツが柔らかいです。思いのほかあっさりとした味付けです。

 ピロシキは揚げたてです。
 ♪おとぎの国のロシアの 夢のおソリ(艝)が運んでくれた パルナス パルナス モスクワの味~
 関西人は、ピロシキといえばこのCMソングを口ずさんでしまいます。

 グリブイは、カップの上を焼きあがったパンが覆っています。寒い国で、スープが冷めないようにとの工夫でしょうか。

 内部は、マッシュルームが入ったクリームスープが熱々です。
 こんな味だったのですね。40年ほど前に何度かやってきて食べたことがあります。ウオツカなんかを飲むのが目的でしたが、この料理は印象深くよく覚えていました。

 ロシアンティはジャムを溶かしていただきました。

 昔と変わらない広い店です。

 窓の外、ビルの向こうに愛宕山のピークがよく見えます。

 窓際から見下ろすと、左下が南座です。

 グランドピアノが置かれ、ディナーショーも開かれる小さなステージがあります。加藤登紀子さんが歌うこともあるそうです。

 1972年に登紀子さんの父が開業しました。一家は戦前、旧満州のハルビンで暮らしていました。引き揚げてきた父がロシア料理店を開きました。登紀子さんの兄が後を継ぎました。
 開業前年に京都市はキエフ(現キーウ)と姉妹都市となったばかりでした。それでキエフと命名したそうです。
 ロシア料理という言葉は、ウクライナやジョージアも、もちろんロシアもの料理の総称だったようです。現在のような状況は、想像外だったことでしょう。

 レストラン キエフ
 075-525-0860
 京都市東山区縄手通四条上ル廿一軒町236 鴨東ビル 6F

 ビル最上階の窓にある「キエフ」の文字を見るたびに、まだ健在なのだと懐かしんでいました。

 四条大橋から見下ろす鴨川は、水量が多いです。投網をもった人が獲物を狙って移動してましたが、網を打つ光景は見られませんでした。

 きょうから通院は最終週に突入です。33回の放射線照射も、なんとか「結願」が見えてきました。