京の三十三食 二十五番 上賀茂 今井食堂のおすすめ定食

 病院前のバス停から北に向かうバスを待ちました。3番か4番か、先に来た方に乗ろうと決めてました。行先は違い、目的の店も変わります。
 のんびりと4番に揺られ、下鴨神社からわたしの母校の高校の前などを通って、回り道をしながら上賀茂神社です。
 「今井食堂」は、鯖煮で有名な店です。「おすすめ定食」(800円)には、その鯖煮が2切れとコロッケ、チキンカツ、卵焼きがついてます。

 ホロリと崩れる色黒で甘い鯖煮です。3日間、煮込むそうです。硬い背骨が、水煮缶のそれのように柔らかくなっています。

 ジャガイモだけが詰まったコロッケです。チキンカツはカラッと揚がっています。
 大ぶりの器にはダイコンと揚げがいっぱいのみそ汁です。

 おばちゃんは、この向きに盆を置いてくれました。どうも写しにくいので、盆ごと180度回転させました。食べ始めると、みそ汁とご飯の位置を逆にしました。
 写真を見て気づきました。鯖煮が載った皿も回転させるべきでした。料理の向きが逆になってました。そんなことより、おいしかったので文句はありません。

 メニューの皿の並びが正解ですね。

 細長い店で、コロナ以前から両側の壁を向いて黙々と食べるスタイルです。

 プロ野球・オリックスの平野佳寿投手らのサインが並びます。近くにある京都産業大学の出身です。店のおなじみでもあるようです。

 目の前も平野一色ですが、古田敦也さんの写真も混ざります。出身の立命館大学グラウンドも近くにあります。

 今井食堂
 075-791-6780
 京都市北区上賀茂御薗口町2 上賀茂神社横

 ここまで来たのだからすぐ前の上賀茂神社に参りました。

 両親が健在だったころの初詣は毎年、ここでした。楼門を背に、玉橋(現在は通行禁止)の上で整列するわが家の記念写真が、アルバムに残っています。時代とともに人数が増え、9人+ワンちゃん1匹が最大でした。

 神馬の神山号は夏休み中で、出社してません。

 手前の西向きの鳥居は、新しく作られました。くぐったのは初めてです。

京の三十三食 二十四番 同志社・寒梅館 アマーク ド パラディのCランチ 

 同志社大学の目の前にある洋食屋で大きいことで有名なオムライスを食べるつもりでした。ところが、休み。
 すぐ近くの寒梅館1階にある「アマーク ド パラディ 寒梅館」は、学生の姿はほとんどなくガラガラでした。学生食堂のプレミアム版ともいうべきカジュアル・レストランです。「チキンステーキ シャリアピンソース」といった食べ応えのありそうなメニューは敬遠して、とりあえずスパゲティーです。
 「Cランチ」(700円)は、「九州産の高菜漬けと明太子のペペロンチーノ スパゲティ―、パン、サラダ付き」です。「アイスコーヒー」(300円)も追加しました。
 高菜と明太子とタカノツメの辛さが三重奏になって、なるほどのお味です。これなら自分でもつくれそうですが、高菜と明太子がそろって冷蔵庫にあるなんてことは稀です。

 目の前は、学食とは思えない雰囲気です。

 側面の鏡越しに見た質素ですが、おしゃれな店内です。

 「One purpose, Doshisha…」はカレッジ・ソングの冒頭です。

 「八代目儀兵衛」の厳選米を使っているそうです。
 学食のご飯といえば、プーンと臭いそうなまずい米の代名詞のような記憶しかない世代からすると、まさに隔世の感です。

 寒梅館に最上階には、フレンチレストランもあるそうです。

 アマーク ド パラディ(Hamac de Paradis)寒梅館
 075-251-0880
 京都市上京区烏丸通上立売下ル御所八幡町103 同志社大学寒梅館1階

 キャンパスを散歩してみました。殺風景だったわが母校とは、えらく違いすぎます。

 明徳館の地下にも学食があったはずです。「Mチカ食堂」と呼ぶそうです。
 近くの予備校に通った浪人時代に、食べにきたことがあります。半世紀も昔のことです。

 まだ夏休みとあってか、こちらもお休みです。

 メニューを見ると、「明徳唐揚げ定食」が450円と、こちらは学食価格です。

 重要文化財のクラーク記念館(旧神学館)に入ってみました。

 内部はひんやりとしています。

 チャペルは閉鎖されていました。

 整然として緑あふれる静かなキャンパスです。
 学生運動がにぎやかだったころは、タテカンが林立していました。

 わたしには、学食で食べたことぐらいしか縁はなかった大学でした。

京の三十三食 二十三番 出町 司津屋のきつね

 病院から出町の桝形商店街まで歩きました。まだ11時を過ぎたはかりで、鯖寿しがおいしい店が開くまで小一時間もあります。商店街をを突き抜けて寺町通にあるそばの「司津屋」にしました。
 「きつね」(830円)です。細めの色白なそばです。口当たりがよく、スルスルと食べられます。
 ちょっと熱かったです。汗がにじみましたが、うまい出汁をすすりました。 

 きつねとたぬきがいます。京都のたぬきは、あんかけです。

 落ち着いたつくりの店です。そこに似つかわしくないロボットくんが出迎えてくれました。大型店でもないのでタッチパネルで席を確保するほどのこともなく、手持無沙汰のようでした。

 司津屋
 075-255-2819
 京都市上京区寺町今出川上ル立本寺前町81-1

 筋向かえには、マツモト模型が健在です。中学生のころ、自転車でやってきてHOゲージの鉄道模型に見ほれたものです。

 長くもない桝形商店街には、古本屋が2軒もあります。

 「海外保存鉄道」を手に取ると、3年前に訪れたオーストリア・チロル地方のアッヘンゼー鉄道が載っていました。300円だったので、即購入しました。

 蒸気機関車に押されてアッヘンゼーへ

 そばがあるーではなくて、そばにある商店街です。

京の三十三食 二十二番 錦 富錦亭のトンカツ定食

 「昭和の洋食店のトンカツ」。そんなイメージがぴったりとくる錦市場に近い「富錦亭」で「トンカツ定食」(980円)をいただきました。
 昔、錦通りの新京極あたりに「ムラセ」という食堂がありました。わらじのように大きな「わらじカツ」がそこの名物でした。同族がこの店で生き残っていました。
 デカいトンカツです。甘いソースがかかっていました。
 老夫婦(?)がやっています。頼んでから豚肉に衣をまぶしていたようで、ちょっと待たされました。その代わりに揚げたてでした。

 ひと切れとって、その分厚さにも驚かされました。1センチはあるでしょう。サクッとした衣と、ジューシーな肉が口いっぱいです。

 つけあわせのスパゲティーも、ドサリとついています。

 黙っていると炊き込みご飯です。

 7種盛りのフルーツです。ちょっと薄いのもありますが、それぞれの味はします。

 トンでもビーフでもチキンでも。どれでも980円です。

 相席前提の長いテーブルが2脚の細長い店です。
 前に客が座ったらどうしようかと、ちょっと不安になりました。でも11時半ごろに入ると一番乗り。最後まで他の客はありませんでした。

 富錦亭(ふうきん亭)
 075-241-2378
 京都市中京区富小路通錦下ル601

 錦市場を抜けて帰りました。

京の三十三食 二十一番 宮川町 光琳のお刺身天ぷら定食

 京都五花街のひとつ 宮川町です。明かりが灯るころとは縁がありませんが、昼飯なら食べることができました。
 お茶屋をリニューアルした和食の「光琳」です。ゆったりとしたカウンターに座り、目の前で板さんが調理する「光琳ランチ」の「お刺身天ぷら定食」(1200円)をいただきました。
 タイとサーモンが2切れづつ。分厚いです。口の中でとろけました。

 天ぷらは、エビをハモに替えていただきました。
 さくりとした揚げたてのハモです。京の夏の味です。シシトウにカボチャ、サツマイモ、タマネギも軽く揚がっています。

 小鉢も素敵です。好物のキンピラとコンニャクの煮物です。柴漬けもおいしく、ご飯が足らないくらいでした。

 ウーロン割ならいうことがなかったのですが、冷たいお茶です。

 向こうが玄関で、奥に深い京のうなぎの寝床です。

 舞妓をたくさん描いた地元出身の日本画家、三輪良平の一作が掲げられていました。

 団扇は、偶然にも写していた近くの置き屋さんのオールスターでした。

 軒下のリーズナブルなメニューがなければ、ちょっと躊躇してしまうたたずまいです。

 光琳
 050-5872-3271
 京都市東山区宮川筋3丁目285

 人力車が通り抜けました。こんな時間にと思っていると、新人を乗せた訓練のようでした。

 電柱がなくなれば、もっとすっきりとするでしょう。

 毎日の病院通いでは、阪急は回数券を使っています。行きは普通回数券、帰りは時差回数券です。
 22回有効の普通回数券をきょうで使い切りました。残りは11回分を購入して33回分です。実際には1日は、機器不良で日延べとなったので、1日分足りませが、先が見えてきた気分です。

京の三十三食 二十番 新京極 龍鳳のカラシ入そば

 京中華、または京都中華と呼ばれる中華料理があります。刺激の強いニンニクなどの香辛料は控え、しょう油や出汁をベースにあっさりとしながら深みのある味わいがあります。
 そのひとつで手軽に食べられる「カラシ入そば」(750円)を、京中華の味の伝統を引き継ぐ「龍鳳」でいただきました。
 カラシの香りがプーンと鼻を刺激します。粉からしをまぶした中華麺に、熱々のドロリとしたあんがかかっています。映えはイマイチですが、味とは別です。
 辛いというほどのことはなく、さっぱりといただけます。

 鶏肉に小エビ、シイタケ、青ネギがそのうま味となっています。

 「龍鳳撈麺(ろうめん)」というのが正式な名前です。撈麺は、茹で上げた麺にソースを絡めて食べるスタイルのことのようです。
 ある中国人コックが京都で作り初め、その店の流れをくむ数店が今もその味を引き継いでいます。

 おやじさんが独りで鍋を振っています。

 カウンターとテーブル2脚の小ぢんまりとした店です。

 新京極からちょっと入ったところにあります。周辺のきらびやかさから置き去りになったような店構えです。
 それでも人気店とあって、すぐにいっぱいになりました。

 龍鳳
 075-255-3966
 京都市中京区新京極町通六角東入ル北側桜乃町450

 きょうの治療は順調に進み、11時過ぎには河原町三条に戻ってきました。時間つぶしに、ファッションビルBALの地下にある丸善書店で久しぶりに立ち読みしました。
 わたしが大学生だったころは、このあたりには京都書院、オーム社、駸々堂書店と本屋が並んでいました。それらが消えて久しいです。

 平積みになっていた新刊の「京都の山と川」(中公新書)を買いました。春に登った東山三十六峰など京都の山や川の歴史などが紹介されています。秋になったら、また歩きたいです。

京の三十三食 十九番 錦 酒とめし 錦市場のおばんざい定食

 ちょっと遅くなっての昼飯でした。錦市場から富小路を下がったところにある「酒とめし 錦市場」でいただきました。大衆酒場の昼営業という感じです。
 昼飯メニューも多いなかから「おばんざい定食」(1100円)にしました。
 大きな鶏の唐揚げをメーンに、小鉢がいくつも並びます。どれも安心して食べられました。

 昼食タイムを過ぎていたので、店はガラーンとしていました。

 向こうのアーケードが錦市場です。

 酒とめし 錦食堂
 050-5456-2349
 京都市中京区富小路通錦下ル西大文字町606-2 アミカーレ錦 1F

 錦市場は、そこそこのにぎわいを取り戻しているようでした。

京の三十三食 十八番 三条 とくらの和風おろしハンバーグランチ

 「行列には並ばない」という主義に反しました。別の店でハンバーグを食べるつもりでしたが、臨時休業でした。ここから3軒目に転進する気にはなれませんでした。
 行列ができる店として知られる「手づくりハンバーグの店 とくら京都三条店」です。若いカップルや女性連れらにはさまれておジイさんも待ちましたが、それほど時間はかかりませんでした。
 「和風おろしハンバーグランチ(180g)」(1040円)です。プックリと膨らんだハンバーグです。 

 箸を入れます。ジュワーッと肉汁がこぼれます。皿一面に、澄んだ脂が広がりました。

 和風のポン酢だしにつけていただきます。ふっくらと柔らかい肉です。

 米は八代目儀兵衛を使っています。祇園石段下にある米料亭は、そちらも行列が絶えません。

 伏見・竹田の城南宮近くにある新堀川店では食べたことがあります。

 店を出ると、行列は長く、密になってました。みんな「ご自由にお使いください」と置かれている黒い日傘を差してました。

 とくら 京都三条店
 075-744-0777
 京都市中京区三条高倉東入ル桝屋町57 京都三条ビル 1F

 すぐ近くにあるレンガ造りの京都文化博物館(旧日本銀行京都支店)の辺りは、それなりの人出でした。

京の三十三食 十七番 祇園 おかるのひやしカレーうどん

 祇園・富永町のうどん屋さん「おかる」です。界隈の芸舞妓や地元民はもとより、観光客も多い名店です。創業は大正14(1925)年と、もうすぐ100年の老舗です。
 カレーうどん、なかでもチーズ肉カレーうどんが人気のようです。でも熱そうでした。夏季限定の「ひやしカレーうどん」(1110円)をいただきました。
 京都のうどんです。当然ながらフニャフニャです。出汁は、ベースの昆布、鰹がよく効いています。カレー味もほどほどです。
 一気に食べてしまいました。もう少し、ボリュームが欲しいところでした。でも、舞妓さんのおちょぼ口には、これくらいでピッタリなのでしょう。

 軟らかい牛肉が、甘辛く煮てあります。

 メニューは多いですが、夏はこれでしょう。

 細長い店内は、テーブル席の奥に小上りです。きれいどころの団扇が並んでいます。

 有名人の色紙もいっぱいです。目の前の1枚は、「TKO 木本」と話題になった人でした。

 夜はネオンでにぎやかな一角です。 

 おかる
 075-541-1001
 京都市東山区八坂新地富永町132

 久しぶりに白川まで歩いてみました。お盆明けのせいか、観光客はほとんどいません。

 吉井勇の「かにかくに碑」の前も静かです。
 

 四条大橋の畔に「出雲の阿国」の碑が立っています。ゆっくりと見たのは初めてです。

  歌舞伎の元祖は、向こうの南座を見上げています。

 鴨川は、これまでになく濁流となっていました。

京の三十三食 番外 荒神口 天狗の日替り

 人さまを治療してくれる機器の方が体調不良となりました。放射線照射装置に不具合が見つかり、17回目の照射は日延べとなりました。きょうが中日で、折り返しのはずでしたが、仕方ありません。
 「番外」となってしまった昼飯は、病院近くの「自家製麺 天狗」でいただきました。日替りから「夏野菜の冷やしすだちささめん 小玉子丼」(980円)です。
 ナスにカボチャ、見えてませんがトウガラシの素揚げにノリ、ワカメ、トマトにミョウガ、ショウガにネギと盛りだくさんです。スダチをおろしダイコンの上にぎゅーっと絞っていただきました。麺がツルツルとのどを滑ります。

 「ささめん」とは、あまり聞いたことがありません。ネットで検索しても、ヒットするのはこの店です。オリジナルなのでしょう。

 玉子丼は、器こそ小ぶりでしたが、結構なご飯の量でした。

 壁の色紙を見て思いだしました。桂米朝さんと枝雀さんです。まだ掛かっています。
 10年前の手術の後、退院前に一時外出が許されて久しぶりに食べた娑婆の飯がここでした。

 コロナ対策で相席なしなのでゆったりとしています。

 クラシックなレジスターです。カードや電子決済はムリでしょうね。

 自家製麺 天狗
 075-231-1089
 京都市上京区河原町通荒神口上ル東桜町39

 どこか郊外の風情ですが、河原町通に面してます。
 京都の街路樹は、昔はプラタナスでしたが、今はイチョウになりました。

 ♬プラタナスの枯葉舞う 冬の道で プラタナスの散る音に 振りかえる(風、はしだのりひことシューベルツ)
 作詞した北山修さんは、京都府立医大の学生でした。

 荒神口の交差点を渡った角が、ジャズ喫茶「しぁんくれーる」の跡地です。車3台のスペースだったのです。

 鴨川畔から見上げる大文字です。昨夜は3年ぶりに送り火に点火されました。

 北山の方は、墨絵のように霞んでいました。