京城勝覧を巡る 第十三日 「らーめん切符」で鞍馬へ

 貝原益軒が記す江戸時代の京都ツアーガイドブック「京城勝覧」を巡る第十三日です。「鞍馬山にゆく道をしるす 京より三里あり」です。
 鞍馬や貴船は、いく度となく訪れたスポットです。鞍馬街道を都まで歩いたこともあります。でも、おもしろいものを見つけました。鞍馬まで走る叡山電車(叡電)の「えいでん麺 京都一乗寺らーめん切符」です。1700円で叡電が1日乗り放題のうえ、一乗寺ラーメン街道の7店のうちで好きなラーメンを食べることができます。
 展望電車「きらら」で鞍馬までやってきました。きららは、第十一日に比叡山に登った雲母坂からとられています。デオ900系には「メープルグリーン」と「メープルオレンジ」の2編成が走っています。

 二ノ瀬-市原間にある「もみじのトンネル」です。紅葉のシーズンには、電車がゆっくりと走ってくれます。
 真っ赤とはいえませんが、ずい分と色づいています。


 
 昼飯は、ラーメン激戦区の一乗寺で、もはや古参となった「中華そば 高安」でいただきました。

 観光列車「ひえい」で、比叡山の登山口・八瀬にも回りました。
 2路線計14.4キロの叡電ですが、全線踏破しました。

 【2021/11/13 10:06】
 阪急、京阪と乗り継いで叡電出町柳までやってきました。
 ホームに止まっていた「きらら」の飛び乗りました。幸い一つ空いていた席に座ることができましたが、鞍馬まで立ちっぱなしの観光客もいました。

 出町柳の有人改札口で買った「らーめん切符」です。一乗寺からラーメン屋行きの半券もついています。

 パノラマ電車ですが、客でいっぱい。天狗がお迎えですが、窓の外はあまり見えませんでした。

 鞍馬は「近畿の駅百選」に選ばれています。でも、認定プレートは姿を消しています。
 鞍馬天狗が出迎える叡電・鞍馬駅

 昭和3年に鞍馬線が開通した当時のデナ21が、先頭部分だけ残して保存されています。

 鞍馬線は土砂災害の影響で、市原-鞍馬間が1年半ほども普通になっていました。鞍馬の天狗もハナを添えています。

 秋空が広がりました。鞍馬寺に観光客が戻ってきました。

 短いケーブルもありますが、九十九折の参道を登りました。

 振り返ると、輝く紅葉の彼方に比叡山が霞んでいます。

 本殿金堂まで上がってきました。汗をかきました。

 金堂前にある石床の「金剛床」は鞍馬寺でも随一のパワースポットとされています。
 両手を広げて空を仰ぎその中心に立つと、宇宙と一体化して願いが叶うんだそうで、ポーズをとる観光客が絶えません。

 コロナの影響で手水鉢が使用禁止となり、代わって花手水があちこちに出現しています。

 朱色を競っています。

 黄金色も美しいです。

 仁王門まで戻ってきました。ちょうど1時間でした。

 鞍馬弘教総本山鞍馬寺
 075-741-2003
 京都市左京区鞍馬本町1074

 出町柳行きで戻ります。
 デオ810系は、編成ごとにボディーの帯色が違います。812は出町の柳をイメージした黄緑です。

 先頭部に陣取ってカメラを構えました。貴船口が近づいてきました。

 二ノ瀬で下りを待避です。最初に乗った「きらら」が出町柳まで戻り、もう一度、走ってきました。

 「もみじのトンネル」です。動画で撮影しました。
 真っ赤になるのはもう少し先です。夜間ライトアップも行われます。

 八幡前あたりまで来ると、向こうに比叡山の山頂が見えました。

 宝池(たからがいけ)で下車しました。昔の名前は「山端(やまばな)」でした。柱の広告を取り除くと、古い表示が現れたそうです。

 昭和の一時期、この駅は宝池競輪場の最寄り駅としてにぎわいました。
 わたしも小学生だったころ、友だちと自転車でやってきて競輪場の跡地を探検したことがあります。朽ちてはいましたが、急こう配のバンフも残っていました。
 この写真にも、その名残が写っています。

 ホームの向こうに、一段低いプラットホームが残っています。
 競輪開催日には、京都市電が東大路通と交差する元田中から乗り入れて、ここまで走って来たのです。市電の乗降口に合わせて低くしていたのです。

 一乗寺で下車して、ラーメン街道に向かいました。
 ユニークな展示やセレクトで人気の本屋「けいぶんしゃ」が、ずいぶんとスペースを広げていました。

 【12:47】
 どこにしようかと迷いながらも、ここなら安心と高安にしました。
 右が高安の行列。向かい側にもラーメン店が2店、並んでいて、どちらも行列です。すぐに食べられるような店は、この界隈では生き残れません。
 とはいえ小一時間、待たされました。

 まずは、「つきだしチャーシュー」を頼んで、生ビールを楽しみました。ネギをいっぱいに包んで頬張りました。

 豚骨と鶏ガラを煮込んだ白濁してミルキーなスープです。
 チャーシューが予想に反して多く、ちょっとかぶってしまいました。おかげで満腹です。

 
 「激カラ」と書かれたニラを入れてみました。スープに変化がついて、これもうまかったです。ニンニクもたっぷりだったようです。

 から揚げが人気です。ライスとセットというメニューもあります。から揚げのデカさを目にすると、とてもわたしは食べられません。

 店を出ると、行列はわたしが並んだときの2倍の長さになっていました。

 中華そば 高安
 075-721-4878
 京都市左京区一乗寺高槻町10

 【14:21】
 再び叡電乗車です。修学院で車庫に留め置きされている車両を見ようと下車ました。撮影ポイントを探していると、後続の八瀬行き「ひえい」がやってきました。あわてて飛び乗りました。

 八瀬に到着して、大半の乗客が下車した車内です。ゆったりとしたシートと楕円形の窓が特徴的です。

 「京都人の密かな愉しみ BLUE」(NHK-BS)にも登場した紅葉の名所、瑠璃光院は予約しないと入れません。秋の特別拝観料はお一人さま2,000円です。とても入れません。

 門前だけでご遠慮しておきました。

 ススキの穂が光ります。

 再び修学院です。駅員に「車庫に留め置きの車両って、見れるとこありますか?」と聞きました。教えられた道を大回りしてデト1001を見ることができました。
 廃車となった京都市電600型を改造した作業車です。枕木や砕石運搬、レール運搬台車を連結してレール運搬などに使われています。
 元は同じ会社だった京福電鉄嵐山線(嵐電)の帷子ノ辻に止まっていた兄弟車両を見たことがあります。

 正面から見ると、細面のカッコいいルックスです。

 元田中で下車しました。乗ってきたデオ720系が走り去ります。交差する東大路には遮断機が降りています。
 ここに渡り線があり、京都市電が宝池まで走っていたのです。その痕跡は残っていません。

 向こうから「きらら」の「メープルオレンジ」がやってきました。

 【15:22】
 出町柳に戻ってきました。3線のホームに3両が発車を待っていました。

 京阪が地下で乗り入れてきましたが、地上の叡電出町柳は、わたしが少年だったころとあまり変わってはいません。
 1日フリー切符で存分に楽しんだ1日でした。