A3032の再生その6 真空管ソケットの交換

 上がafter、下がbeforeの画像です。7本の真空管が刺さっているソケットが黒色から白色に替わっています。 
 LUXMANの管球プリアンプ、A3032はほぼ満足の音で鳴ってます。ところが、忘れていたころに片チャンネルが「ゴソゴソ」とノイズを発し、音楽も途切れることがありました。しばらくすると、治ってしまったりを繰り返しました。「半分、死んでる」というタチの悪い状態で、故障の原因を特定するのが難しいのです。
 古いソケットが原因となっていることもあります。面倒な作業ですが、観念して取り換えました。 

 ネットで探せば、過去の遺物のような真空管のソケットも手に入ります。
 タイト製で金メッキのソケットが1個で400円ほどでした。

 作業に取りかかります。
 9本足の9ピンMT管(12AX7、12AU7)が7本使われています。それぞれの足の1本は不使用で、8ヵ所でハンダ付けされています。前回に紹介したハンダ吸い取り器で余分はハンダを取り去ります。
 反対側からこじ開けると、古いソケットを取り外せます。
 新しいソケットを差し込み、ハンダ付けをすれば終了です。

 まずは1本で試した後、残りの6本も同じ作業をしました。

 取り外した古いソケットです。
 黒いプラスチック製の廉価ソケットです。

 真新しいソケットが並びました。
 真空管を差し込むのに苦労するほど、接点がしっかりとしています。これなら接触不良も起こさないでしょう。
 工事完了でまた1ステップが終わりました。これで謎の「ゴソゴソ」が退治できたでしょうか。

A3032の再生その5 セレクター・スイッチまで分解

 仮組みした管球プリアンプ、A3032で機嫌よくLPを聴いていました。突然、ガリガリと雑音が入って片チャンネルがヘンになりました。どこかが接触不良を起こしているのは明らかでした。
 あちこちとつつきまわした結果、セレクター・スイッチが原因でした。フォノ(LP)やCD、チューナーといった音源を切り替えるスイッチです。
 経年劣化が疑われるパーツですが、はんだ付け個所が多くて面倒なので、目をつぶっていました。
 観念して、分解修理しました。

 プリント基板に12×3か所、計36か所ではんだ付けされています。
 根気よく1か所づつハンダを吸い取っていきました。

 なんとか取り外すことができた6回路5接点のロータリー・スイッチです。

 金属ケースのカシメを緩めて、接点の基盤を取り出しました。3枚あります。

 接点が黒く変色しています。これでは接触不良を起こすはずです。
 ネットでは緑青を吹いているようなすごいのも見ますので、きれいな部類です。

 綿棒に無水アルコールを含ませて、接点をきれいにしました。

 接点復活剤はあまり使いたくはないですが、これも綿棒で薄く塗っておきました。

 軸にはグリスを塗って、回転をよくして、元通りに組み上げました。

 底板には、安っぽいゴム脚がついていました。余っていた防振ゴムのショック・アブソーバーをつけておきました。

 上蓋も取り付けて、ひとまずは修理完了です。ここに至るまで、何日も遊ばせてもらいました!!

A3032の再生その4 音を出してみる

 一応のリペアが終わりました。
 その過程では、ウォーンというハム音がでたり、ちょっと手こずった場面もありました。前回、紹介したボリュームの調整を一度は失敗しました。電気部品でありながら、抵抗面を接点が移動する機械部品でもあります。微妙な接触具合を調整して2度目はばっちりでした。
 さっそく音出しをしました。ニヤリ!としました。いい音です。全体にまろやかな音となり、高音はすっきりとしています。
 床に置いているこれまでのプリアンプは、退役となりそうです。

 手持ちの真空管をあれこれと差し替えました。その都度、微妙に音が変わったり、期待に反してあまり変化が感じられなかったり。「ベスト7」(真空管は7本使用)を決めました。残りはベンチ行きです。

 熱くなった真空管を取り換える必需品は、耐熱指サックです。真空管が冷えるのを待っておれません。

 LPとCDととっかえひっかえ試聴しました。
 CDは、1年前にベルリンで生を聴いたアリス・紗良=オットのピアノ、キース・ジャレットの名盤、ケルン・コンサート、ゴールウェーのフルートなど。LPは、ネビル・マリナー&アカデミーのモーツァルト・ディベルティメントK136などです。

A3032の再生その3 ボリュームの分解

 管球プリアンプ、LUXKIT A3032のリペア作業は続きます。
 音量を調節するボリュームがスムーズに回りません。ガサガサと引っ掛かるような感じです。一番よく動かす部分だけに、気になります。取り外して分解修理しました。

 特殊な4連ボリュームが使われています。2連が使われることが多いパーツです。合計12ヵ所のハンダを吸い取ってプリント基板から外しました。

 ボリュームを分解してゆきます。

 元に戻す順序を間違えないように、順に並べてゆきます。

 抵抗被膜で覆われたメーンのパーツです。
 無水エタノールで丁寧にふき取り、接点復活剤を綿棒の先にわずかにつけて薄くコーティングしておきました。

 元の状態に戻しました。回転はスムーズになってました。

 後面パネルのコネクタです。ルーターに金属ブラシをつけて磨きました。

 真空管の脚も磨きました。左がきれいになった脚です。

 真空管を見ていて気が付きました。かつてはTOKYO SHIBAURA ELECTRICだったのです。

 ジャンク箱にあった真空管のパッケージ箱です。大きく東芝とありますが、小さく東京芝浦電気と書かれています。東芝と社名変したのは1984年のことです。
 わたしが務めた新聞社は、入社当時はカタカナの題字を使っていましたが、カラー化にあわせて漢字表記に戻りました。

A3032の再生その2 コンデンサの交換

 管球プリアンプ、LUXKIT A3032のレストア作業です。まずコンデンサを交換します。
 電源部には、黒い管状の電解コンデンサがたくさん使われています。いわば消耗品で、耐久時間は5000時間といわれています。毎日2時間使用すると、7年ほどでリミットに達します。熱に弱く、高熱にさらされると一気に劣化します。このプリアンプは1980年ころのものです。といういことは40年が経過しています。すべて交換することにしました。
 B(高圧)電源用に耐圧450Vの大きなブロック電解コンデンサが3本、350Vのものが4本、左にヒーター(低圧)電源用が1本、使われています。

 ブロックコンデンサは、プリント基板にはんだ付けされています。

 取り外したブロックコンデンサです。ホコリをはらえば、きれいです。容量も規定から大きくずれてはいません。でも内部の圧力が高くなって頭部がちょっと膨らんでいます。

 ヒーター電源用のブロックコンデンサです。これは見事に頭が膨らんでいます。いつ爆発するか心配で、とても使い続けるわけにはいきません。

 コンデンサの容量は、それほど変化はしていませんでした。

 プリント基板から部品を取り外します。この動画は、ハンダごてとハンダ吸い取り器を使って、基板上のハンダを吸い取っているところです。

 ハンダ吸い取り器です。
 左側のレバーを下に押し込みます。右の吸い取り口を溶けたハンダに押し当てて、中央のレバーを押します。ばねの力でレバーは上に飛び、その時に右の吸い取り口の内部圧力が下がって、ハンダが吸い取られるのです。

 取り外した電解コンデンサと、ネット通販で購入した同じ容量、同じ耐圧のコンデンサです。
 アンプ部分に使われているフィルムコンデンサなども、念のために交換します。一部パーツは、所持品を使いました。

 使われていたブロックコンデンサは、同容量の2本がパッケージされていました。同じものは手に入らないので、格好は気にせずバラバラのパーツをつけました。

 灰色のパーツもコンデンサです。このパーツも、ショートしたり破断したりで故障の原因となっていることが多いようです。

 手持ちの同容量ながら大きなパーツをつけました。

 同じ灰色のパーツはあちこちに使われています。
 青色の丸いパーツはタンタルコンデンサで、カソード・パスコンとして使われています。

 ついでのことなので、ぜーんぶ取り換えてすっきりとしました。

A3032の再生その1 管球プリアンプがやって来た

 巣ごもり生活も長くなり、退屈な日々が続きます。ヤフオク(ヤフー・オークション)をチラチラと見ているうちに、オーディオ熱という病が再発しました。
 落札したのは、真空管を使ったプリアンプです。正確にはラックスという音響メーカーが「LUXKIT A3032」という型番で1976年に発売した組立キットです。発売当初の価格は88,000円でした。わたしが社会人になって2年後のことです。当時の給料では、手が出るはずもありませんでした。この歳にして、やっと中古を手に入れて喜んでいるくらいです。
 古い製品ですが、まずまずのフェースをしていて、ひと安心でした。

 さっそく上部のふたをはずしました。
 ネットで調べていた様子とあまり変わりはありません。ヘンに手も加えられておらず、オリジナルのままのようです。
 キットですから、初代オーナーがみずから配線などの工作をしたはずです。はんだ付けもしっかりとしています。

 電源部の配線が、乱暴に切断されています。
 これは、「製品としての性能は保証しないよ。修理するなら自己責任で」という、出品者の責任回避のアピールです。

 真空管を外しました。オリジナルは松下電器製が使われているはずですが、すべて東芝製でした。しかも12AX7は5751、12AU7は5814Aというちょっと珍しい互換(差し替え可能)球になっていました。
 さて、どんな音がでるのかとはやりますが、その前にお決まりの不良部品を交換していきましょう。
 わたし自身への備忘録でもありますので、大方の方はスルーしてください。

LUXKIT A3032

ジャケ買いLP トーマス教会のパワー・ビッグス

 「ジャケ買い」してしまいました。高槻市内のブックオフのレコード(LP)売り場です。「200円均一」のコーナーで、1枚づつレコードを繰っていて目に止まりました。たった200円です。即買いでした。
 ドイツ・ライプツィヒにあるトーマス教会がデザインされています。それだけで十分でした。
 わが家のオーディオ装置では、トーマス教会のパイプオルガンの荘厳な響きを再現させるのは難しいです。それでも、雰囲気の一端に触れることができました。
 米国のオルガン奏者、パワー・ビッグスが弾く「トッカータとフーガニ短調BWV565」など、有名なオルガン曲です。

 小学校の音楽教室に掲げられていたのと同じ顔をしたJ.S.バッハが真ん中にいました。トーマス教会のステンドグラスです。
 奥さまたちの女声アンサンブル、クラルス・ヴォ―チェのテレ・コーラス動画の背景に使ったばかりでした。

 トーマス教会を訪れて、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のマタイ受難曲を聴いた8年前の感動の夜が蘇りました。

 ライプツィヒ 感動の夜 「マタイ受難曲」を聴く
 ライプツィヒ バッハの聖地、聖トーマス教会

コロナ対策 「シールド・スクリーン」をつくる

 ピアノ・レッスンのための「シールド・スクリーン」を作ってほしいと頼まれました。
 新型コロナ・ウイルスのため、奥さまのピアノ教室はzoomによるリモート・レッスンが続いています。そろそろ再開を模索する動きも出てきました。その対策として、教師と生徒との間にシールド・スクリーンを設置しました。
 ピアノの生徒と、手前の椅子の距離は2メートルほど離れているうえに、このスクリーンで飛沫を浴びることも少なくなるでしょう。

 近くのホームセンターで細い角材と透明シートなんかを買ってきました。合わせて2800円ほどでした。
 まずは窓枠のようなものをつくりました。10cm角の合板を半分に切った三角形の補強材に、角材をボンドで接着しました。 

 百均出身の白色ペイントを塗って格好をつけました。
 2枚の枠で透明シートをはさみ、木ネジで固定しました。

 枠を自立させることも考えましたが、面倒なうえ、いずれ長期間使用するものでもないだろうと、小さな脚立にひもで縛り付けるという安易な方法にしました。
 それにしても脚立が2つも。ひとつはzoomのためのノートパソコンが載っています。殺風景なことです。

コントロール・アンプ Toshiba12BH7Aに交換する

 メーンアンプの2A3に続いて、コントロールアンプの真空管も交換しました。
 CDやLPなどのソースを選択、音量を調節するためのアンプです。高音や低音の出方を調節するトーンコントロール機能はついていません。
 12BH7Aという真空管が各チャンネル1本、使われています。
 左の2本が、これまで長く使ってきたJJ-Electronic(スロバキア)製ECC99(12BH7A互換球)です。右の2本は、ELECTRO-HARMONIX(ロシア)製の12BH7AEHです。

 今回、ヤフオクで入手したのは東芝製の12BH7Aです。かつてはテレビでよく使われていました。
 箱に書かれた当時の定価は700円です。1本は、未開封の新品でした。

 3本を見比べて、身体検査をしてみました。
 まずは太さ。JJとELE-HAMOは直径が22mmありますが、東芝は20mmで細身です。

 身長は、JJがノッポです。ELE-HAMOはずんぐりむっくりです。

 東芝製に差し替えました。

 さっそくの音出しです。
 コントロールアンプの球1本くらいで、それほど音が変わるとは思っていませんでした。それが、変わりました。
 中高音の響きがまろやかになったという印象です。元気がなくなったとも言えます。
 バッハのオルガンの調べも、心地よくなりました。しばらくは、この状態で聞いてみます。

 【追記】
 朝からLPを聴きました。ヴァイオリンが響かずにガックリ!! ELE-HAMOに差し替えました。ネットラジオをBGMに聞いているのならよかったのですがね。

メーンアンプの真空管交換 PSVANE(貴族之声)2A3C

 さあ、ベルリンフィルのデジタル・コンサートホールを聴くぞ! 6日午後8時(日本時間7日午前2時)から、ベルリンフィル8重奏団のライブ配信があります。準備万端です。
 そのためというわけではありませんが、懸案だったオーディオ・システムのうちのメーンアンプの真空管を取り換えました。
 終段は2A3という真空管を、PP(プッシュ・プル)という動作で、片チャンネルで2本使っています。これまでのSOVTEK(ロシア)製のものは、使い始めて10年近くなり、そろそろ寿命かという症状がでてきました。真空管は、今では日本や欧米ではほとんど生産されていません。ところが、中国では一部の人気真空管が、今も作られています。
 交換したのは、ヤフオクで手に入れた未使用品です。

 PSVANE(プスバン、中国語では「貴族之声」)というメーカーで作られた「2A3C」です。

 外見を見る限りは、しっかりと作られています。

 「クワッドペア」という、4本の特性がそろったものをゲットしました。
 白い箱に入っています。説明書の類はありませんが、内部のクッション材もしっかりとしたものでした。

 これまでの2A3と比べると、ひと回り大きいです。オーディオマニアにとっては究極の真空管である300Bとよく似た格好をしています。しかし、電気特性は2A3です。

 beforeの画像です。退役していただいたSOVTEKの2A3も、大事に保管しておきます。

 このメーンアンプの前段(ドライバー)は、ECC802S(TELEFUNKEN製、12AU7互換)-ECC99(JJ製、12BH7互換)です。

 真空管を取り換えたため、内部のバイアスを調整しました。

 夜になって部屋の灯りを消しました。ほのかな光が、なごみの音の空間を演出してくれます。