村に1軒のレストランは、7時になっても営業を始める気配がありません。しびれを切らして、近くの店で買ってきました。
レトルト食品です。
スペイン語は読めなくても、この表示でわかりました。
店のおばちゃんは、キャッシャーが別の客で詰まっていたので、手書きで1の位からウンウンと計算してくれました。
メセタの大地を歩いていると、向こうに高い鉄塔が見えました。近づくと携帯電話の中継アンテナだと分かりました。こんなところにまで携帯電波が飛んでいました。
わたしの格安キャリアのSIMフリー・スマートフォンは、スペイン国内で使えるプリペイドSIMに差し替えていて、データ通信や国内通話が可能でした。
バルセロナに着いた夜、ホテルのフロントで携帯ショップを教えてもらいました。地図にプロットしてもらったショップの中で一番近かったVodafoneESに飛び込んで、通信容量1.5ギガ、国内通話付きのSIMを購入しました。15ユーロでした。若い店員が、チャチャとわたしのスマホにSIMを差し込み、設定までやってくれました。
あっさりとFacebookも更新されました。
ところが、ホテルに戻って設定を触っていると、ヘンにロックがかかって作動しなくなりました。翌日、サンジャン・ピエ・ド・ポーに移動する途中のパンプローナで時間がありました。バスステーションは新市街にあったので、辺りをやみくもに歩いていると、簡単にVodafoneESのショップが見つかりました。男性店員は、あれこれと調べ、最後にはVodafoneESの本部(?)にも電話して、SIMカードを初期化して使用できるようにしてくれました。料金として10ユーロを請求されましたが、「バルセロナのショップで買ったばっかりだ」とそのときの領収書を見せると、タダにしてくれました。
最初にトラブルこそありましたが、わたしのスマホはメセタの大地を歩いていようが、ほとんど途切れることなくインターネットとつながっていました。
オ・セブロイロの峠に登る前夜でした。足が痛かったので、初めてカミーノ・コモドという運搬業者にザックを運んでもらうことにしました。アルベルゲにあった荷札に名前と目的地などを書き込み、5ユーロを入れてザックに結び付けました。
「そこに書いてある電話のところに頼まないと取りに来てくれませんよ」
アルベルゲの若い女性スタッフが声をかけてくれました。小さなアルベルゲで、ほかにコモドの利用者はいそうにありませんでした。
「電話してくれますか」。その女性に頼みましたが、充電中のスマホを取り出して、「ダメなの」。「じゃ、これで電話して」。女性スタッフにわたしのスマホを渡して連絡してもらいました。もちろんスペイン語の会話でした。
終盤のガリシア州に入ってからの公営アルベルゲでは、WiFi通信を使うために認証を求められました。その認証のためのパスワードをSNSで受け取るには、スペイン国内で使える電話番号が必要でした。それも、わたしのSIMには付いていたので、これまでと同じようにネット通信を使用することができました。
WiFiが日本より普及しているスペインです。たいていの施設、アルベルゲ、バル、レストランで利用することができます。パスワードが必要ですが、スマホをかざして「?」と聞くと簡単に教えてくれます。
とはいえ、アルベルゲでは夕食後などに宿泊者が一斉に通信を始めると、回線速度が遅くなることがありました。フロントでは強力な電波も、ベッドではダメということもありました。
プリペイドSIMを使う値打ちは、こんな時に力を発揮してくれました。サリアを前にして足が痛くなりました。WiFi電波なんて飛んでいない道端に座り込んで、翌日は休養日にしようとインターネットのBookinng.comで2連泊の宿を予約しました。
この日のステージは、サアグーンの町の出口にあるサン・ベニーと門を横目にベルシアノス・デル・レアル・カミーノまで23.5kmほど。
少しづつ樹木が増えてきた。紅葉している木もあった。
途中から疲労蓄積のためか右足首が痛くなってきた。アルベルゲで、持っていた湿布薬を張った。